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モントリオール発アートで街が変わる! テクノロジーとアートの融合
渋谷ストリームデッキ、MIYASHITA PARKなど

モントリオール発アートで街が変わる! テクノロジーとアートの融合

現在、テクノロジーとアートが融合したカルチャーイベント「DIG SHIBUYA 2025」が開催され、渋谷駅周辺の広場や施設を中心に様々なイベントが展開されている。中でも、カナダ・モントリオール発のユニークなアート作品やプロジェクトがひときわ注目を集めている。ここでは、ケベック州政府在日事務所の協力のもと、渋谷を舞台にその魅力を発信する3つのアートイベントをレポートする。

モントリオールとは?

フランス語を話すケベック州に位置しながらも、世界中から移民を受け入れる国際的な都市。この多文化的な背景がアートに大きな影響を与えており、ギャラリーや美術館だけでなく、壁画やグラフィティといったストリートアートも盛んで、アートが日常生活に溶け込んでいる。日本でも知られるサーカス・エンターテインメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」も、このモントリオールを拠点としている。また、近年ではゲーム開発、デジタルアート、映像制作といった分野で、国際的に活躍するクリエイティブ集団・企業が集積する都市としても注目を集めている。

壁や路上をライブペイントのキャンバスに変える! MAPP_SHIBUYA WEEK

渋谷ストリームデッキで開催されたライブイベントの様子(撮影 2025年2月10日)

カナダ・モントリオール発のアートプロジェクト「MAPP(マップ)」とコラボレーションしたイベント「MAPP_SHIBUYA WEEK(マップ シブヤ ウィーク)」が、2月16日まで渋谷ストリームデッキなどの屋外広場で開催されている。

右)アーティストが指でイラストをライブで描いていく 左)プロジェクターを搭載した自転車

MAPPは、「街をクリエイティブな遊び場(PLAYGROUND)に変える」というビジョンのもと、プロジェクションマッピングの可能性を追求・発展させる活動を世界各地で展開している。一番の特徴は、「MAPP_BIKE(マップ バイク)」と呼ばれるプロジェクターを搭載したユニークな自転車を使用する点である。この自転車を用いて移動しながら、場所を問わず壁面やストリートに映像を投影するパフォーマンスを行う。大掛かりな設営が不要で、柔軟かつ即興的に映像表現を楽しめるのが魅力だ。

プロジェクターを向ければ、旧東横線・渋谷駅舎をオマージュしたクラム型壁面にも映写できる

会期中、渋谷ストリームデッキや渋谷キャストガーデン、100BANCH前など、複数の会場を巡回しながらライブイベントを実施している。通常、ライブペイントやグラフィティといえば、壁面や路上にペンキを使って作品を描くものだが、このイベントではアーティストがiPadを使用し、指先で即興的に描いたデジタルイラストやテキストが、壁や路上にリアルタイムで投影される。アーティストが指先でイラストをクルクルさせれば、投影されたイラストも回転し、ピンチインやピンチアウトの動作でサイズを自由に変えることもできる。さらに、投影する対象物を変えることで、あらゆる場所がライブペインティングのキャンバスへと姿を変えていく。

プロジェクターを向けられると、大人もついはしゃいでしまう

会期中には、子どもや親子連れも参加可能なワークショップが予定されており、自分で描いたイラストがストリートアートとして表現される体験を楽しむことができる。

開催概要
  • 名称:MAPP_SHIBUYA WEEK(マップ シブヤ ウィーク)
  • 会期:2025年2月8日(土)〜2月16日(日)
  • 場所:2/8~11 18時~19時ストリームデッキ→窪島ビル(約30分間×2会場)
    2/12~13 18時~19時 渋谷キャスト ガーデン
    2/14~16 17時半~18時半 ニュー三水ビル(100BANCH前)
    ※2/8~11のストリームデッキでは一般参加型ワークショップを実施しません。
    ※2/12~13が雨天の場合、渋谷キャスト敷地内に変更。
    ※2/14~16が雨天の場合、ストリームデッキに変更。
  • 料金 :無料

未来の遊具? 音を光で可視化する「ECHO」

宮下公園に設置されている「ECHO」(撮影 2025年2月10日)

カナダ・モントリオールを拠点とするクリエイティブスタジオ「mirari」(ミラリ)によるインタラクティブ・インスタレーション「ECHO」が、2月18日まで渋谷・宮下公園に設置されている。

右)無数の輪が連続的に並ぶ構造 左)両端に集音マイクがある。

「ECHO」は、言葉や音を光の波やパルスに変換する独自の技術を用いたインタラクティブ・インスタレーションである。今回の展示では、TOPPAN DIGITAL SANDBOXチームが制作したレスポンシブな光のビジュアルが新たに導入され、作品の魅力がさらに高まった。無数の輪が連なる筒状の両端には集音マイクが設置されており、声や動きに反応して、音波が広がり反対側に届く様子を光の変化で表現している。普段は目に見えない音の動きを可視化することで、アートとテクノロジーの融合を見事に体現した作品といえる。

日中は親子や子供たちが楽しそうに遊ぶ姿が目立つ(撮影 2025年2月8日)。

実際、 宮下公園では、遊びに来ていた子どもたちが声を響かせ、インタラクティブな音の響きと光の動きに驚きながら楽しむ姿が見られた。この空間は、純粋な遊び心と最新テクノロジーが交錯する場であり、「未来の遊具」や「公共アート」としての可能性を広げるものと言えそうだ。

アート作品としての魅力はもちろんのこと、家族連れやテクノロジーに関心を持つ人々にもおすすめしたい。特に日没後は、声と光が織りなすカラフルな光の変化が見やすい。会期は2月18日まで。

開催概要
  • 名称:インタラクティブ・インスタレーション「ECHO」
  • 会期:日時:2025年2月8日~2月18日
  • 場所:MIYASHIYA PARK4階パークセンター前
  • 料金 :無料

渋谷の空にピンクのアートが舞い降りた! 「Mr.Pink」日本初上陸

「MAGNET by SHIBUYA109」屋上展望スペースに設置されたMr.PINK(撮影 2025年2月8日)

渋谷スクランブル交差点を見下ろす「MAGNET by SHIBUYA109」の屋上展望スペース「CROSSING VIEW & ROOFTOP LOUNGE MAG8」で3月2日まで、ピンク色の巨大アートオブジェ「Mr.Pink(ミスターピンク)」が設置されている。一体、このミスターピンクとは、何者なのだろうか? 

こちらのレポートは、詳しく別で記事を書いているので、下記をご覧ください。

モントリオール発アートは、その独創性と実験的なアプローチで、アートの未来を切り開いている。渋谷という都市の多様性と融合しながら、新たなインスピレーションを与えている点が非常に興味深い。この機会に、モントリオールのアートの面白さとその可能性を体感してほしい。

取材・執筆

編集部・フジイ タカシ

渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。