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SOILで観桜会、コンポストで育てた桜が満開に――渋谷3丁目、陽光桜と金王桜も見ごろ
SOIL・渋谷三丁目

SOILで観桜会、コンポストで育てた桜が満開に――渋谷3丁目、陽光桜と金王桜も見ごろ

東急が運営するオープンイノベーション拠点「SOIL(SHIBUYA OPEN INNOVATION Labo)」(渋谷3丁目)で3月25日、地域で育てたコンポストを使って育成した桜の鉢を囲む観桜会が開かれた。同企画は昨年11月の「コンポストの作り方講座」から始まり、全4回にわたって実施。今回の観桜会は、今月2日に開かれた第3回「コンポストを桜へ施肥するイベント」に続く一連の取り組みの締めくくりとして開催されたもので、参加者自らが植え替えた桜が満開を迎えた。

当日は屋外広場での開催を予定していたが、あいにくの雨天のため屋内に会場を変更。それでも、3月2日の施肥イベントに参加した住民やワーカーらが再び集まり、濃いピンク色の花を咲かせた10鉢の桜を囲んだ。各家庭や職場で生ごみから作った堆肥を持ち寄り、ブレンドした土で約3週間前に植え替えた苗木は、今年の暖かさの影響もあり、例年より早く満開となった。

雨のため、急遽、SOIL室内で実施された観桜会の様子

昨年からプログラムに参加している渋谷勤務の男性は、「街づくりの仕事で渋谷3丁目に関わる中で声をかけていただいた。自分たちで土をつくり、その土で桜を育てる取り組みがとても面白いと感じた」と振り返る。

3月2日に開催された「コンポストを桜へ施肥するイベント」の様子。生ごみから生まれた堆肥を使い、桜の植え替え作業を行った

コンポストは初めての体験だったというが、「自宅の生ごみを使ってやってみると、想像以上に簡単で楽しかった」と話す。一方で、「家庭でできた土を使い切るのは難しく、活用方法や回収の仕組みは今後の課題」とも指摘。それでも、「一般的なワークショップは土づくりで終わることが多いが、今回は桜が咲くまで見届けられる。単なる体験にとどまらず、街や人とのつながりを実感できた」と語り、取り組みの意義を強調した。

堆肥に含まれる養分を吸収し、約3週間で10鉢の桜は満開を迎えた

渋谷という街との関係については、「センター街のような“消費”のイメージが強い一方、3丁目には落ち着いた日常の顔もある。この取り組みはその地域性に合っていると感じた」と話す。「地域住民や企業など多様な立場の人が自然に交わっていた。継続することで街の魅力向上にもつながるのでは」と期待を寄せた。

イベント終了後、男性は桜の鉢を電車で自宅まで持ち帰るといい、「家族とささやかなお花見ができたらうれしい。来年も咲かせられるよう育てたい」と笑顔を見せた。

「桜」を媒介に生まれるコミュニティ

同イベントを主催した東急の安江愛さんは、昨年11月から続く全4回の取り組みを振り返り、「当初は手探りで、桜が本当に咲くのか、どれくらいの方に参加いただけるのかも分からなかった」と明かす。一方で、「地域の方に声をかけると想像以上に多くの方が参加し、すべての回に来てくださった方もいた。こうした取り組みが求められていると実感した」と手応えを語る。

イベントを主催した東急の安江愛さん

参加者についても、「若い方から高齢の方まで、企業の方や地域住民など本当に多様な方々が集まった。“桜”という日本らしい象徴を通じて、人が自然に集まる風景が生まれたのは良かった」と話す。

渋谷3丁目については、「この地域は桜のイメージが強い。明治通りの陽光桜や金王八幡宮の金王桜など、桜が地域のキーワードになっている」と説明。SOIL開業時にも入口に桜を植えた経緯があり、「今回をきっかけに、その桜にも改めて注目してもらえたら」と期待を込める。

確かにSOIL入口両脇にも、陽光桜が植えられている。ただ、堆肥を十分に得ている鉢植えの桜に比べて、やや花のボリュームに欠ける。来年はこちらにもぜひ堆肥を……

今後については、「この広場を活用した取り組みは継続していきたい。最終的には地域の方が自由に使える場にしたい」とし、「渋谷には気軽に集まれる場所が意外と少ない。“たまり場”のような場として、人と人とのつながりを育んでいければ」と展望を示した。

幅広い年齢層の参加者が桜を囲み、くつろぎの時間を過ごした

渋谷3丁目に広がる“ひと足早い春”

SOIL周辺でも桜が見ごろを迎えている。明治通り沿いには、今回の鉢植えと同じ品種である陽光桜の並木が続き、ソメイヨシノより一足早く満開に。濃いピンク色の花が街を彩り、足を止めて写真を撮る人の姿も目立つ。

明治通り沿いの陽光桜の並木は見ごろを迎えている(撮影:2026年3月25日)

隣接する金王八幡宮では、江戸三大名桜の一つに数えられる名木「金王桜」も見ごろを迎えている。一枝に一重と八重が混ざって咲く珍しい品種で、鎌倉時代、源頼朝が忠臣・渋谷金王丸を偲んで鎌倉から移植したとされ、区指定天然記念物にもなっている。そんな歴史を感じさせる名木が淡い花を咲かせ、お参りする人々を楽しませている。恒例の「金王桜まつり」は3月28日(土)・29日(日)に開催予定だが、天候が心配だ。お出かけの際は雨具の準備も。

金王八幡宮本殿の右手で咲き誇る「金王桜」。陽光桜の濃いピンクとは対照的な白に近い淡いピンクの花(撮影:2026年3月25日)

渋谷川沿いの河津桜、明治通りの陽光桜、SOILの鉢植えの桜、そして金王八幡宮の金王桜――異なる時間軸で数週間にわたって桜を楽しめるのも、このエリアならではの特徴である。

渋谷3丁目で生まれた「小さな循環」は、桜の開花とともに街の風景へと広がりつつある。コンポストから始まった取り組みは、人と人、地域と時間をゆるやかにつなぎながら、新しい春の景色を描いている。

開催場所

取材・執筆

編集部・フジイ タカシ

渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。