SHIBUYA × EVENT
2025-08-23
「つかえそう展」渋谷ヒカリエで開催 ハザイが誘う“思考の余白”
クリエイティブユニット・Palab(パラボ)の展覧会
2025-08-20
日常の中で「使えない」と切り捨てられるモノに新たな視点を与える、クリエイティブユニット・Palab(パラボ)による展覧会「つかえそう展 Not meant to work (but that's ok)」が8月23日から31日まで、渋谷ヒカリエ8階「8/CUBE」で開催される。
会場に並ぶのは、工場や街で偶発的に生まれた端材=「ハザイ」を使った作品群である。廃棄されるはずのモノにひと手間を加え、「つかえる」と「つかえない」の狭間を漂う造形物として提示する。鑑賞者はそれらを前に、「これは何に使えそうだろうか」と想像を膨らませることになる。
Palabは、多摩美術大学出身の山野恭稔さんと中里洋介さんによるユニットで、2012年頃から清澄白河を拠点に活動。紙や木材、金属、ガラスなど、周辺の工場から譲り受けた端材を素材に独自の作品を生み出してきた。端材をあえてカタカナで「ハザイ」と表記するのは、数ある端材の中から「使えそう」と可能性を見いだしたものを指すためだという。
二人が定義する「ハザイ」とは、人の意図に関わらず偶発的に生まれたものを指す。例えば、工場で型抜きをした際に出る外側の部分などである。一方、ペットボトルのように元から用途や意味を持つモノは「ハザイ」には含めない。彼らはこうした予期せぬ形にこそ面白さを見いだしている。
昨年の同会場でのイベントでは「ハザイ寿司」と題し、回転寿司を模したインスタレーションを展開。参加者はスポンジを“シャリ”に見立て、ハザイを“ネタ”として組み合わせ、オリジナル寿司を創作した。
今回の展示は体験型要素を一部残しつつ、作品展示を中心に構成。靴のヒールに端材を組み合わせた作品や、3Dプリンターの製造過程で偶然生まれたアクリルの塊を“取っ手”に見立てた造形など、「使えそう」で「使えなさそう」な境界を探る試みが並ぶ。
奥のスペースでは、Palabおすすめのハザイを詰め合わせたセットを販売するほか、自ら選んで組み合わせることも可能。またワークショップでは、来場者がに日本庭園や茶園にある「関守石(せきもりいし)」をモチーフにした作品づくりや、紙のハザイを使ったピンバッジに挑戦できるワークショップも開かれる。
効率や機能性が求められる現代社会において、Palabは「つかえないことを楽しむ余白こそ豊かさではないか」と問いかける。同展は、合理性から少し距離を置き、モノの見方を変えることで生まれる新たな発想に出会える場となりそうだ。
入場無料。会期は8月31日まで。
- 名称:つかえそう展 Not meant to work (but that's ok) by Palab - つかえなくてもいいじゃない、思考と余白と工夫
- 会期:2025年8月23日(土)~月31日(日)11:00~20:00
※最終日は17:00まで - 会場:渋谷ヒカリエ8F 8/CUBE
- 料金:入場無料
- 主 催:Palab(パラボ)