SHIBUYA × WATCH
7月に開業する複合施設「渋谷アクシュ(SHIBUYA AXSH)」(渋谷2丁目)の竣工を記念し、同エリアの歴史を地図でたどる単行本「地図で見る渋谷東のあゆみ」(アルファベータブックス)が6月に発売された。
著者・南塚信吾(みなみづか・しんご)さんは、1956年に中学3年生の時に富山から上京し、渋谷区金王町(現・渋谷2丁目)に住む叔母の家で暮らし始めたことが渋谷との接点の始まり。その後、東京大学を卒業し、ハンガリー史を専門とする歴史学者として活躍。現在、千葉大学と法政大学の名誉教授、世界史研究所の所長を務める傍ら、同地区の再開発事業を進める組合の理事長も務める。
本書で紹介する「渋谷東」エリアは、キャットストリートから渋谷駅、恵比寿方面に流れる渋谷川の東側を指し、北は穏田神社、南は国学院大学近くの氷川神社、東は青山学院大学までの地域を含む範囲。江戸時代から戦前、戦後復興、高度経済成長、そして現在に至るまでの地図の変遷をたどりながら、渋谷東の村や町、人々の生活の変化を紹介する。
江戸時代の絵図と現代の地図を比較することで、金王八幡宮や氷川神社といった寺社仏閣、大山街道(宮益坂)沿いに移り変わる街の中心、消えてしまった町名など、興味深い内容が満載。渋谷東の歴史を知ることで、街の今と未来をより深く理解することができる。
渋谷アクシュの開業に合わせて、隣接する渋谷ヒカリエや渋谷クロスタワーとをつなぐ歩行者デッキも供用を開始。これに伴い、幹線道路(青山通り、六本木通り、首都高)の開発で分断されてきたエリアの歩行者動線の利便性が向上し、青山や渋谷3丁目方面への新たな街の賑わい創出が期待される。
南塚さんは、「渋谷東は、若者でにぎわう道玄坂とは異なり、落ち着いた雰囲気の大人な街。イノベーションが生まれる可能性も秘めている」と期待を寄せる。
同書はB5判オールカラー64ページで、価格は1,800円(税別)。新たな商業施設の開業と同時に、そのエリアや土地が持つ歴史にも思いを馳せてみてはいかがだろうか。
- 渋谷の歴史を探訪できるパネル展示
幹線道路に囲まれた渋谷駅東口エリアの円滑な回遊を促す役割も担う「渋谷アクシュ」 の開発前から現在までの再開発の歩みとして、地図をもとに江戸時代まで遡った変遷を 辿るパネルで紹介する。 - 会期:7月8日(月)~7月31日(水) 10:00~18:00
- 場所:渋谷アクシュ3階 階段室(たまりば)
- 料金:入場無料