SHIBUYA × WATCH
7月8日に開業する渋谷駅東口の大型複合施設「渋谷アクシュ(SHIBUYA AXSH)」のメディア向け内覧会が、7月4日に開催された。今回はひと足早く施設内の様子をレポートする。
青山通り沿い、渋谷ヒカリエに隣接する渋谷駅東口エリアを中心とした大規模な再開発プロジェクトが「渋谷二丁目17地区市街地再開発事業」であり、その完成したビルが「渋谷アクシュ」である。この事業は、老朽化した「シオノギ渋谷ビル(1980年竣工)」「渋谷アイビスビル(1961年竣工、1984年増築)」「渋谷東宝ビル(1971年竣工)」「太陽生命渋谷ビル(1968年竣工)」の4つのビルを、高さ約120メートル、地上23階建ての1棟のビルに建て替えたものである。ちなみに「渋谷アクシュ(SHIBUYA AXSH)」の名称は、「青山(A)と渋谷(SH)の街をつなぐ(X)人や文化が交じり合い、新たな価値が生まれる場」という意味が込められている。
オフィスワーカーのランチ需要、休憩、交流を満たす
渋谷アクシュは、1~4階が「商業」、5~23階が「オフィス」で構成。1フロア約400坪のオフィスは既に満室で、約2500人規模の新たな就労人口が見込まれる。
駅周辺の再開発が進む中で、東急グループの渋谷まちづくり戦略の一環として、「働く場所」としての渋谷の魅力を発信する役割を担うオフィスビルと位置付けられる。
オフィスエントランスの入口となる3階フロアは、壁面緑化に加え、植栽をふんだんに配置され、ワーカーや来街者が寛げるスペースを演出。窓側には簡単な仕事ができるワークスペース(電源付き)が設けられ、ワーカーたちの様々なシーンに応える環境が整う。
さらに約35平米の階段型のスペースを活用し、レンタルイベントスペース「たまりば」も設置。60インチモニターを完備した同スペースでは会議、セミナー、展示会やポップアップストア、PRイベントなど幅広い用途での利用が見込まれる。また、イベントが開催されない期間は、入居するワーカーに開放され、休憩や打ち合わせなど自由に利用できるスペースとなるという。
商業フロアは、飲食やアートギャラリー、健診センターなど15テナントが出店。大きな特徴は「多国籍料理」と「カフェ」の充実だ。
ハワイアンカフェ&ダイナー「hale’aina HOA(ハレアイナ・ホア)」、スパイスカリー「Spice Theater(スパイス・シアター)」、タイ料理「チャオタイ」、スペイン料理「Cerveza(セルべサ)」、日本料理・居酒屋「塩・酒・肴 中井商店」、町中華店「餃子の店 おけ以」(2025年オープン予定)とバリエーション豊かな多国籍料理をそろえ、ワーカーたちのランチ需要や、仕事後の同僚との飲みやディナーニーズに応える。さらに「アンティコカフェ アルアビス」(2F )、「タリーズ」(3F)、コーヒースタンド「SINGLE O SHIBUYA(シングル・オー・シブヤ)」(1F)と、仕事の合間のリラックスタイムや打ち合わせに使えるカフェスペースを複数設けている点も、オフィスビルならではと言えるだろう。
また、オフィスビルの持つ重々しさた堅苦しさを軽減し、渋谷ならではのカルチャー色を打ち出すのが、3階にオープンを予定するアートギャラリー「NANZUKA」(2025年5月オープン予定)だ。
2005年、渋谷アイビスビルの地下で開廊したコンテンポラリーアートギャラリー「NANZUKA UNDERGROUND」が、再開発後の同所に復活する形でオープンする。田名網敬一をはじめ、空山基、山口はるみ、ダニエル・アーシャム、佃弘樹ら、人気作家を多数抱える同ギャラリーは現在、神宮前3丁目の「NANZUKA UNDERGROUND」、渋谷PARCOの「2G」、中目黒の「3110NZ by LDH Kitchen」にギャラリーを持ち、今回の出店で都内4つ目の拠点となる。
さらに渋谷アクシュ2階には、アートギャラリー「NANZUKA」が手がけるバー「NANZUKA TAKEN(BAR)」もオープンし、所属アーティストの作品が囲む空間内でお酒が楽しめる。仕事後、唯一無二のバーでアート談議に花を咲かせて交流を深めるのもいい。
「東口エリアとの繋がり」を重視する「たまりば」的な役割を担う
渋谷ヒカリエの裏側にあたる同エリアは、もともとお店も少なく、人が集い、溜れる場がなかった。そこで渋谷アクシュでは、エリアとエリアをつなぎ、人と人をつなぐ「TSUNAGI-BA」をコンセプトに掲げ、人々の集いはもちろん、滞在する時間とその価値を提供し、渋谷駅東口エリアの新たな賑わいを創出する場としての役割を担っていく。
中でも、「たまりば」として、渋谷駅方面と青山方面のそれぞれ玄関口に「2つの広場」が設けられる。渋谷ヒカリエ2階の貫通通路を抜けた先、「SHIBUスポット」と名付けられた渋谷駅方面に位置する広場では、シースルービジョンの設置やキッチンカーの出店・販売が予定され、新たなにぎわいスペースとなる。
一方、「AOスポット」と名付けられた青山方面に位置する広場では、NANZUKAのパブリックアートプロジェクト「NANZUKA PUBLIC」により、同所を行き交う人々がアート作品に触れる機会を提供する。オープン時には、そのプロジェクトの第1弾として、世界的に活躍するフランスのアーティスト・ジャン・ジュリアンさんの作品が設置される。
「The Tank(水槽)」と名付けらた作品は、仏・ブルターニュ地方の海岸の町で育った作家の幼少期の記憶と、ディズニーのアリエルやジブリのポニョからイマジネーションを沸かせながら、タイやアジ、エビ、タコなどの海洋生物をユーモラスに描く。「寿司好き」のジュリアンさんは、「日本=魚」というイメージも強く、今回の作品は日本に対する愛やリスペクトを示すものとなっている。パブリックアートは年2~3回くらいの頻度で変更をしていくという。
さらに隣接する渋谷ヒカリエと渋谷アクシュは、まるでA館、B館のような近しい関係であり、その移動も大変スムーズだ。
渋谷ヒカリエの地下3階の地下鉄改札から、アーバンコアで渋谷ヒカリエ2階まで上り、青山方面へ貫通通路を抜けると渋谷アクシュ1階玄関口へたどり着く。
また、渋谷ヒカリエ3階(青山方面側)部では、歩行者デッキを通じて渋谷アクシュとつながり、施設間のシームレスな移動が可能となる。
その先の、渋谷クロスタワーまで連続的にデッキがつながっており、雨の日でも濡れずに駅からアクセスできる範囲が大幅に拡大(渋谷アクシュの開館時間は始発が始まる朝5時から、終電の深夜25時まで)。今後、宮益坂上、表参道・青山方面、渋谷3丁目方面への移動が、より快適になりそうだ。
渋谷アクシュの開業は7月8日午前11時から。
「SHIBUYA OPEN CITY ひらけ、渋谷。」イベントでは、「OPEN CITY」をキーワードに参加型、公募型の音楽・アート・体験イベント企画がそろう。会期中、参加する側、観る側として、渋谷のまちを回遊しながら楽しみ、新しい魅力に触れてみてはいかがでしょうか。
・【音楽】OPEN LIVE ― 渋谷の街が音楽で盛り上がる!
・【アート】 OPEN ART -渋谷アンデパンダン展
・【感動体験】 OPEN CITY体験