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渋谷サクラステージ「サクヨン」はカルチャーとフードの楽園 インディーゲームから地ビールまで
7月25日に本格的にオープンした渋谷・桜丘エリアの新ランドマーク「渋谷サクラステージ」。渋谷駅南西部に広がる約2.6ヘクタールの広大な敷地を一体的に整備する再開発プロジェクトであり、単なるビルの建て替えに留まらず、国道246号線を跨いだ先に「新たな渋谷」「新たなまち」が誕生したと言っても過言ではない。
昨年11月に竣工してから約半年を経て、今回、JR渋谷駅新南改札の移転と同時にテナントも一斉にオープンし、桜丘エリアのにぎわいが一気に増した。「SHIBUYA(渋谷)サイド」(A街区)と「SAKURA(桜)サイド」(B街区)の2エリアで構成され、SHIBUYAサイドには高さ約179m、地上39階建てのSHIBUYAタワーと高さ約90mのセントラルビルがある。SAKURAサイドには高さ約127m、地上30階建てのSAKURAタワーがあり、それぞれ見どころが多い。
今回の記事では、SHIBUYAタワー4階の「サクヨン」に注目して紹介する。「サクヨン」は「サクラステージ」の「サクラ」と「4階」を掛け合わせたネーミングであり、「カルチャー」と「フード」が交わるコミュニティ空間として、施設内で最も力を入れているフロアの一つである。
仕事に使える!渋谷駅直結の大型書店&シェアラウンジ
まず、カルチャーの領域から見ていこう。CCC(カルチャ・コンビニエンス・クラブ)が手がける渋谷エリア最大級の書店「TSUTAYA BOOKSTORE」と、「SHARE LOUNGE」がある。かつて渋谷といえば、大型書店が多い「本の街」として知られていた。再開発とともに駅周辺から大型書店がすっかりと消えてしまったが、今回、駅直結の同施設内に渋谷最大規模の書店が誕生したことは、渋谷で暮らす人やワーカーにとって大変喜ばしい。
さらに書店と隣接し、渋谷スクランブルスクエアやSHIBUYA TSUTAYA(QFRONT)でお馴染みの、シェアオフィスとラウンジの居心地の良さを併せ持つスペース「SHARE LOUNGE」も併設する。
座席や電源、高速Wi-Fi、フリードリンク・スナックが整った環境のなかで快適に仕事ができるほか、息抜きやカフェ代わりの利用もできる。BOOKライブラリーが充実しているため、書籍や雑誌を見ながらゆっくりと過ごすのも心地よい。主な料金は、ソフトドリンクプラン1,650円/h、アルコールプラン2,200円/h、1日利用5,500円。
大手にはできない挑戦! インディーゲームの魅力に触れる
4階フロアの中央エリアには、インディーゲームクリエイターの聖地を目指したスペース「404 Not Found(ヨンマルヨンノットファウンド)」がある。幅10mを超えるLEDが設置されたイベントスペースでは、ゲームやアート、音楽、フードなど、様々なカルチャー領域で活動するインディークリエイターの創作活動の支援を目指し、展示やワークショップ、音楽ライブなどのイベント開催の場として活用していく。
イベントがない日や時間は、個人や少人数、低予算で開発されたゲームソフトを実際にこの場で体験し遊ぶことができる。開発したゲームクリエーターが滞在している場合は、直接話を聞く機会を得ることもできるという。
会社帰りに同僚と寄りたい! 路面店感覚の新フードホール
続いて、同フロアのもう一つの主役である「フード」領域も見ていこう。路面の“商店街”の個性やカオスさを再現したフードホール「FOOD MET(フードメット)」だ。フードメットは「SHIBUYA SAKURAGAOKA BEER HALL」「404 Kitchen」「渋谷 By STREET」の3つのエリアで構成され、全17店舗で展開されている。
★SHIBUYA SAKURAGAOKA BEER HALL/店内醸造の地ビールが飲める
「ビールづくりは街づくり」をコンセプトに、東急不動産と共同で「SHIBUYA BREWERY」が運営するビアホール。8つの店舗が1つのレストランとして機能し、フードコートのように様々な店舗のフードを楽しみながら、店内醸造の地ビールを堪能できる。
主な店舗は、ミシュラン一つ星「LATURE」の室田シェフが手がけるピザ店、アジア・エスニックなフードを提供する「Stand Phở You(スタンド・フォー・ユー)」、世界各国のスパイス料理を組み合わせた多国籍なスパイス料理専門店「Tipsytiger Spice(ティプシータイガー)」、点心を中心としたヘルシー中華「中華可菜点心」、海鮮料理の創作和食「BIG OYSTER KAIRI」など。モバイルオーダーを導入し、全8店舗の食事をテイクアウトオーダーできるほか、ディナータイムは席からのモバイルオーダーでホール内全店舗の食事が楽しめる。
★404 Kitchen/実験的なポップアップレストラン
新しい食の可能性を模索する実験的な要素を取り入れたポップアップレストランエリア。元スクウェア・エニックスのゲームプロデューサーで、食通として知られる成沢理恵さんがキュレーションし、「チャレンジ」をテーマに全国各地の個性的な店舗や、常設店舗を持たないシェフなど、個人やスタートアップ店舗を応援する。
注目出店は、渋谷・広尾のミシュラン一つ星の「熟成鮨 万」の白山大将が手がける、1品から頼めるアラカルト鮨屋「熟成鮨 万~離れ~」。1年限定出店のため、この機会に食べておきたい。もう1つの店舗は立ち飲み「JUICCCY」。病原菌を持たない「SPF豚」のみを使ったジューシーな豚肉メニューと、ドリンクをリーズナブルな価格で提供する。期間限定出店だからこそ、一期一会のワクワク感があるエリアとなりそうだ。
★渋谷 By STREET/桜丘エリアの新たな横丁
商業施設内ながら路面店のような賑わいをつくる「シン食堂街」。和食シェフのライブ感あふれる大人の酒場「酒場ジャロウ」や、ソウルミュージックの流れるカジュアル寿司「SUSHI SOUL」、ライブキッチン型鉄板ステーキ専門店「鉄板 BANANA STEAK」、自家製トルティーヤが名物のメキシカン「ラ・エスキーナSHIBUYA」など、個性の異なる6つの飲食店が軒を連ねる。桜丘エリアの新たな横丁として食事とお酒が楽しめる。
ハチ公の友達!?秋田犬の「さくら」も
4階フロアの窓側には、かつて桜丘にいたという秋田犬の「さくら」の姿も。実は「さくら」は実在せず、あくまでも架空の設定なんだそう。「忠犬ハチ公」が渋谷の観光の定番であるように、「さくら」もハチのようにみんなから愛される存在になって欲しいという思いを込め、サクヨンのシンボルとして秋田犬「さくら」が生まれた。4階に来たら、ぜひ「さくら」に会いに行ってみてほしい。
渋谷サクラステージの本格オープンにより、桜丘エリアは新たな活気を取り戻しつつある。中でも、今回ピックアップした4階の「サクヨン」は、カルチャーとフードが交差するユニークな空間として、訪れる人々に新しい体験と楽しさを提供してくれるだろう。これまで渋谷で食事をする際は、ハチ公広場で友人たちと待ち合わせて、道玄坂や宇田川方面へ移動することが多かったと思う。今後はJR新南改札を出て、渋谷サクラステージのイベントスペース「BLOOM GATE」で待ち合わせ、4階のサクヨンで食事を楽しむというのも新しい選択肢として使えそうだ。皆さんもぜひ足を運んで、その魅力を体験してみてはいかがだろうか。