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渋谷駅東口の新たな顔「宮益坂地区」再開発が本格始動 都が組合設立を認可
宮益坂

渋谷駅東口の新たな顔「宮益坂地区」再開発が本格始動 都が組合設立を認可

渋谷・宮益坂地区で計画が進められてきた大規模再開発事業「宮益坂地区第一種市街地再開発事業」が2025年4月30日、東京都知事より市街地再開発組合の設立認可を受け、本格的な事業化段階へと移行した。

この事業は、2015年に発足した「宮益坂地区まちづくり検討協議会」を前身とし、2019年の準備組合設立を経て、約10年にわたり地元権利者を中心に進められてきた。事業主体は宮益坂地区市街地再開発組合であり、東急とヒューリックが事業協力者かつ権利者の一員として参画する。

A街区、B街区、C街区の配置図

対象区域は、渋谷駅の東口に隣接し、宮益坂および明治通りに面する約1.4ヘクタール。宮益坂下交差点角の「小林ビル」を中心とし、明治通り沿いのシブヤボウリングがある「渋谷東口会館」や、宮益坂沿い路面にオープンハウスがある「渋谷たくぎんビル」などのビル群が並ぶ「A街区」。りそな銀行渋谷支店があった「渋谷協和ビル」「ウエマツ画材店」などがある「B街区」。3階部に宮益御嶽神社を併設する「渋谷区立商工会館」などがある「C街区」の3つ街区で構成。

上=現在の宮益坂下周辺(2025年4月撮影) 下=外観イメージ(中央ビルがA街区、渋谷ヒカリエに隣接するのがB街区)

地上33階建・高さ約180メートルの高層ビルを中心に、国際会議場や宿泊施設、産業育成支援施設、商業施設、神社など多様な都市機能を備える。総敷地面積は約1万870平方メートル、延べ床面積は約20万1300平方メートルに及ぶ。A街区にはMICE対応の多目的ホール、オフィス、宿泊滞在施設、産業育成支援施設を整備。B街区には店舗中心の商業施設と、空中階に広場を設ける。

上=宮益御嶽神社(2025年4月撮影) 下=御嶽神社の建て替え、再整備を行うC街区(右)と大山街道のイメージパース

C街区には宮益御嶽神社を再整備し、地域文化の継承と共に公共性の高い空間を創出する。

A街区、B街区の複合ビルの断面図

また、地下から地上への縦の移動をスムーズにする立体的交通結節機能「アーバン・コア」や、A地区とB地区を宮益坂上空でつなぐ空中通路、地下広場の整備により、渋谷駅との連携性を強化する。空中階では、ヒカリエデッキおよび将来的な「スカイウェイ(仮称)」と接続され、東西をまたぐ歩行者ネットワークの構築が進む見込みである。

整備するアーバン・コアと地下広場および上空通路のイメージパース。地下の渋谷駅からも、上空のスカイウェイや宮益坂(大山街道)をまたぐ空中通路からも移動しやすくなる

2023年4月に東京都と渋谷区から都市計画決定の告示を受け、東京都市再生プロジェクト(東京圏国家戦略特別区域)の特定事業にも位置付けられている。これにより、渋谷駅中心地区での大規模基盤整備と連動し、同駅の東側にふさわしい都市基盤の構築と、国際都市・東京渋谷のさらなる発展に貢献することが期待されている。

再開発にあたっては、大山街道(宮益坂)の再整備にも注力。「交差点広場」「沿道広場」「神社前広場」などの多様な広場空間を創出し、人中心のウォーカブルでにぎわいあふれる街並みを目指す。さらに、A街区には立体道路制度を活用したビル貫通型の区画道路や、周辺道路の拡幅、荷さばき施設の整備など、交通利便性の向上も図られる。

この事業は、渋谷ヒカリエに隣接する開発プロジェクト「渋谷二丁目22地区」や、青山通りや六本木通りに面した開発プロジェクト「渋谷二丁目西地区」、美竹公園一帯の開発プロジェクト「MITAKE Link Park」などと並び、渋谷駅東口エリアの都市再編を象徴するプロジェクトであり、完成後には新たな「渋谷駅東口の顔」として注目を集めそうだ。

新築着工は2027年度、竣工・開業は2031年度の予定。

開発概要
  • 事業名称:宮益坂地区第一種市街地再開発事業
  • 施行者: 宮益坂地区市街地再開発準備組合
  • 施行面積: 約1.4ha
  • 敷地面積: 約10,870㎡
  • 延床面積: 約201,300㎡
  • 規 模:
    【A街区】 地上33階 地下3階
    【B街区】 地上7階 地下2階
    【C街区】 地上2階 地下1階
  • 高 さ: 180m(A街区)
  • 用 途: 事務所、宿泊滞在施設、店舗、ホール・カンファレンス、神社、産業育成支援施設 など
取材・執筆

編集部・フジイ タカシ

渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。