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学びと交流を一杯に込めて 渋谷キャストから「クラフトビール」誕生
渋谷キャスト

学びと交流を一杯に込めて 渋谷キャストから「クラフトビール」誕生

10月1日に放送されたコミュニティFM「渋谷のラジオ」の番組「渋谷文化プロジェクト」では、渋谷キャストで誕生したオリジナルクラフトビール『金曜日 17時に』が紹介された。ゲストとして出演したのは、東急の吉田七海統さん、横浜ファンカンパニーの横内勇人さん、工藤葵さん。3人がビール誕生までのプロセスや思いを語った。

渋谷のラジオ:「ビールゼミ」担当者ラジオ生出演

渋谷キャストと「SHIBUYA CAST. SCHOOL」

明治通りとキャットストリートが交わる場所に位置する複合施設「渋谷キャスト」。低層部には店舗やクリエイター向けシェアオフィス、高層部にはシェアハウスや賃貸住宅が入り、「暮らす」と「働く」が融合する空間として知られている。

渋谷キャスト外観

この施設で暮らす人や働く人が交流し、新しい価値を生み出すことを目的に今春始まったのが「SHIBUYA CAST. SCHOOL」だ。その第1期プログラムとして挑戦したのが「クラフトビールづくり」である。

渋谷キャストを担当する東急の吉田さんは「これまでも交流会はありましたが、『みんなで一緒に何かを作りたい』という声が高まり、クラフトビールをテーマにした取り組みが動き出しました」と振り返る。

ビールゼミの運営を担ったのは横浜ファンカンパニーの横内さんと工藤さん。もともと横浜ビール出身の2人で、「クラフトビールの日」である昨年4月23日に会社を設立し、地域や企業と連携した企画を手がけている。工藤さんは元看護師という異色の経歴を持ち、「ビールが好きすぎて横浜ビールに飛び込んだ」というほどの愛好家だ。

4回にわたる「ビールゼミ」

ビールゼミの様子。ビールを飲みながら、和気あいあいとアイデアを出し合う様子

クラフトビールづくりは春から夏にかけて、計4回のゼミ形式で進められた。

第1回(4月):ブルワリー「里武士馬車道」の醸造師・里口空さんを講師に迎え、基礎知識を学び、参加者の好みに合うビールを探すため「飲み比べ体験」を実施。

第2回(5月):「クラフトビールとまちづくり」をテーマに、横内さんの横浜での事例紹介や、全国の食材を新しい加工品として生まれ変わらせる「N.E.W.S PROJECT(ニュースプロジェクト)」を手掛ける中村元気さんによるキャットストリートでの活動を聞き、ビールと地域コミュニティとの関わりを考えた。「ゼミ中も、もちろん片手にはクラフトビールがあった(笑)」といい、「初めまして」の人同士もビールを介してコミュニケーションが生まれ良いアイデアが出たという。

第3回(6月):「ラベルデザイン」をテーマに、クラフトビールメーカーのアートワークを複数手がけるイラストレーター・イソガイヒトヒサさんから事例を学び、ワークショップを開催。「クリエイターが集まる渋谷キャストらしく、参加者のデザインレベルがとても高かった。面白いものがたくさんあった」と工藤さん。

グループごとに「9月に渋谷キャストで飲みたいビール」の企画をプレゼンした

第4回(7月):グループごとに「9月に渋谷キャストで飲みたいビール」のネーミングとコンセプト、味わいを考えるワークショップを実施。Aチームの「C3B2(シースリービーツー)」=渋谷キャストの多様性やクリエイティブ性を表現した複雑な味わいのビール、Bチ―ムの「金曜日 17時に」=週末の始まりに夕暮れを眺めながら飲む爽やかなビール、の2案が提案された。

最終的には渋谷キャストで働く人、お住まいの方々にアンケート投票してもらい、B案の『金曜日 17時に』に決定。「1週間の終わり、17時は少し早いけど、あえて飲んで楽しんでもらえれば」(横内さん)と、背徳感を感じながら飲むビールの旨さを強調する。

もっと「ビールゼミ」を知りたい方はこちらへ

完成した『金曜日 17時に』

9月5日(金)、渋谷キャストでお披露目会が開かれ、ゼミ参加者や講師陣、関係者が集まった。当日はあいにく台風直撃による雨模様だったが、「仕事帰りに集まった方々と乾杯しました」と工藤さん。会場ではプロジェクトの経緯を振り返りながら、自然な交流が生まれたという。

実際の仕込みやラベル貼りなどの工程にも参加者が関わり、ビール完成までのプロセスを体感

ビールの製造を担当したのは「里武士 馬車道」の里口さん。Juicy Brut IPAスタイルで、アルコール度数は5%。Brut IPAにトロピカルな香りを加え、都会的で爽快な味わいに仕上げた。

その味わいについて、吉田さんは「IPA好きの私にはドンピシャの味。本当に美味しかった」と、半年かけてみんなで作り上げたビールは感動的だったという。

完成した『金曜日 17時に』は、渋谷キャスト内のカフェ「Marked 渋谷」や渋谷マークシティ地下の渋谷東急フードショーでの販売のほか、飲食店「KAMERA」「テンキ」、さらに10月にオープンする渋谷ストリーム1階の飲食店「ONDO」などで提供される予定だ。

今回のゼミにはビールが飲めない人も参加していたというが、みんなでプロセスを共有し『一つのものを生み出す』体験ができたことに価値があるのだろう。今後のSHIBUYA CAST. SCHOOLについて吉田さんは、「キャスト内ですれ違った際に、グループワークを共にした仲間として自然に声を掛け合える関係が生まれた、という喜びの声も寄せられている」と話し、第2期開催に向けて新たなテーマを検討していくという。

地域の交流から生まれたクラフトビール。その味わいは数量限定。気になる人は、ぜひ早めに味わってみてはいかがだろうか。

★渋谷のラジオの「ビールゼミついて」の放送は、下記より聴取ください。

渋谷のラジオ:「ビールゼミ」担当者ラジオ生出演

開催場所

取材・執筆

編集部・フジイ タカシ

渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。