SHIBUYA × WATCH
「2025年NEWオープン」の注目ランチ! 渋谷在勤・かごさんが厳選する5店を紹介
2025-12-26
渋谷にある大手企業に勤めるかごさんは、日々のランチタイムに渋谷の飲食店を10年以上も食べ歩き続け、その数なんと2000店を超える「渋谷一のランチ・カフェ探求者」です。そんなかごさんが、毎回テーマに沿ったおすすめのお店を紹介。グルメ口コミサイトとは一味も二味も違うお店をこっそり教えます。
かごさん
渋谷一のランチ・カフェ探求者
普段は渋谷の大手企業に勤務。2012年頃からランチ食べ歩き&ブログやSNSで発信する活動を開始。今や渋谷だけに留まらず、東京全域をはじめ全国の飲食店も訪問。
今回のテーマ:「2025年NEWオープン」
駅前の再開発やビルの入れ替わりとともに、飲食店の新陳代謝も早い渋谷エリア。気づけば「ここ、前は別のお店だったよね?」なんてことも珍しくありません。かごさんが今年訪れたランチ店は200軒(11月までの集計)。未訪問の新店やカフェ・夜営業のみの店まで含めると、その1.5倍〜2倍弱、体感では250軒ほどになりそうです。
かごさんによると、年末に向けて新店が増え、特に11月は「一気に増えた」と感じる月だったそう。今年の新店はコンセプトや看板メニューが分かりやすく、ランチでも店の個性が伝わりやすいのが特徴。“定食でサクッと”系から、スパイス・麺・肉のガツン系、からだが喜ぶ“野菜チャージ”系まで選択肢も豊富だったと言います。
今回はそんな「新店ランチ」にフォーカスし、今年オープンした新店87店の中から、かごさんが厳選した5店をご紹介します。
かごさんが厳選する2025年NEWオープン5店舗
野菜が主役の本格土鍋スープカレー/幕末カリー

JR渋谷駅から文化村通り方面へ徒歩約10分。現在、開発工事中の旧東急百貨店本店前から山手通リ方面へ伸びる「松濤文化村ストリート」沿いで、店先に掛かるロゴ入りの大きなのれんが目印です。
<店舗情報>
店名:幕末カリー
住所:渋谷区松濤1-28-11 Pigeon高田ビル1F
オーガニックレストラン「WE ARE THE FARM」を展開する「ALL FARM」が手がける、「野菜が主役」の土鍋スープカレー専門店。自社農場で育てたオーガニックの固定種野菜をベースに、野菜のうまみを抽出しただしに和の調味料とスパイスを重ね、特注の土鍋でグツグツと仕立てるのが特徴です。




画像=かごさんinstagramより
おすすめは「スープカレー 幕末」。直火にかけた土鍋で作っているからこそ、運ばれてきた瞬間も土鍋がぐつぐつ。テンションが上がりますね。素揚げを中心とした野菜の充実ぶりも魅力で、このときはブロッコリー、エノキ、レンコン、ズッキーニ、マイタケ、シシトウ、オクラ2種類、シメジ、ナス、ニンジン、ジャガイモ、ウリ、ゴボウなど種類豊富。どれもしっかり野菜の味を感じられて、食べごたえも十分です。
スパイスが心地よく効いていて、身体の内側からほどよく発汗。植物性の食材だけで作っているようで、さらっとした口当たりなのに満足感は高めです。ライムを絞ってさっぱりさせたごはんも相性が良く、カレーのボリュームに合わせて自然と箸が進みます。うれしいことに、ごはんはおかわりOK。しっかり食べたい日にも頼もしい一皿です。
見た目華やか!隠れ家ガレット店/Mr.クレーピーとMrs.ガレッティ


JR渋谷駅新南改札から徒歩約10分。渋谷サクラステージからJR線路沿いを猿楽橋(恵比寿)方面へ向い、八幡通りと合流する一本手前の道沿いに立つ「スタンド看板」が目印です。青い階段を上って4階へ。
<店舗情報>
店名:Mr.クレーピーとMrs.ガレッティ
住所:渋谷区猿楽町2-14 プラスリノ猿楽町4F
6月にオープンしたクレープとガレットの専門店。古いビルをリノベーションした「隠れ家感」のあるロケーションで、重い扉の先には手作り感のあるアットホームな空間が広がります。テーブル席はグリーンに囲まれ、窓際には厨房を囲む明るいカウンター席も。気分やシーンに合わせて使い分けできるのも魅力です。




画像=かごさんinstagramより
ジャンクなおいしさの博多スタミナ鉄板焼き/豚ときゃべつ亭

渋谷駅から徒歩約6分。明治通り沿い「東交差点」近くで、大きな赤いのれんに書かれた店名が目印です。
<店舗情報>
店名:豚ときゃべつ亭
住所:渋谷区東1-25-6
5月にオープンした「博多スタミナ鉄板焼き」を看板に掲げる専門店。福岡で親しまれてきた「スタミナ鉄板」を渋谷で味わえる店として、博多のソウルフードを東京にも広げたいという思いを発信しています。焼き上げた豚肉とキャベツをアツアツの鉄板で提供し、卓上の木の棒で鉄板を傾けて油を寄せ、ニンニク醤油や辛味噌で味変しながら食べ進める「作法」も名物の一つです。




画像=かごさんinstagramより
この日注文したのは「焼肉(中)+ごはん」。シャキシャキのキャベツをたっぷり使い、ブロック状で食べやすい豚肉を炒めた一皿です。「中」はハラミを200g使っており、アツアツの鉄板に盛られ、湯気を立てながら運ばれてきます。食べ方にも特徴があります。まず卓上の木の棒を鉄板の下に差し込んで傾け、炒め油を片側に寄せます。溜まった油はニンニク醤油の風味が効いており、キャベツや肉をくぐらせながら食べ進めるスタイル。さらに、辛みのある秘伝味噌を油に加えて味を調整でき、油そのものが調味料のように効いているのが印象的です。仕上げに背脂も混ぜると、よりコクが増します。
しっかり味のガッツリ系で、ごはんが進むジャンクな美味しさ。大盛りやお代わりができるのもうれしいポイントです。
熊本の幸が味わえる本格炭火焼き魚と羽釜ご飯/篤魚 神泉谷


JR渋谷駅から文化村通り方面へ徒歩約10分。現在、開発工事中の旧東急百貨店本店前から山手通リ方面へ伸びる「松濤文化村ストリート」沿いで、左手に見えるローソンと同じビル1階。繁華街から少し離れた落ち着いた立地です。
<店舗情報>
店名:篤魚(あつぎょ) 神泉谷
住所:渋谷区円山町11-11 カーサ松本1F
2025年11月ごろから営業を始め、12月15日にグランドオープンを迎えたばかりの、焼き魚と米にこだわる和食店。炭火で香ばしく焼き上げる魚に加え、羽釜で炊くごはんを看板に据え、ランチから「焼き魚定食」を主役に据えます。店内は木のカウンターを中心に、羽釜と炭火台を据えたライブ感のあるつくりも特徴です。




画像=かごさんinstagramより
身体の内側から発汗する薬膳スープランチ/大珍厨房 渋谷ヒカリエ


JR渋谷駅直結の商業施設「渋谷ヒカリエ ShinQs」地下3階「東横のれん街」にあります。テイクアウト店が並ぶフロアの一角で、ピンクのサインとショーケース、イートインのカウンター席が目印です。
<店舗情報>
店名:大珍厨房 渋谷ヒカリエ
住所:渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエB3 東横のれん街
6月にオープンした薬膳中華の惣菜店。横浜中華街「大珍楼」の3代目が手がけ、食材にこだわった点心や創作中華に加え、「日常的に食べられる、からだに優しい薬膳中華」を打ち出しています。併設のイートインでは、16種類の薬膳生薬を使った「5色のスープ」を用意し、体調や気分に合わせて選べるのも特徴です。




画像=かごさんinstagramより
注文したのは「選べる薬膳スープセット」。薬膳スープに点心、ごはん、おかず、デザートを組み合わせられるセットで、好みや気分に合わせて組み合わせを選べるのが魅力です。薬膳スープは「黄色の免疫」を選びました。干し貝柱のうま味をベースに、クコや月桂樹、八角、桂皮など16種類の生薬を配合しているそうで、滋養感のある味わいです。薬膳らしさはしっかり感じられつつ飲みにくさはなく、きのこがたっぷり入って食べごたえも十分。朝採れのトウモロコシが入っているのも印象的で、食後は体の内側からじんわり温まる感覚がありました。
点心は「薬膳クコエビカニ焼売」。1個入りの蒸したてで、エビとカニの身はぷりっとした食感です。おかずには麻婆豆腐をチョイスしました。秘伝のタレと香辛料を使っているとのことで、とろみのある餡にやさしい甘みがあり、辛さはありつつ痺れは控えめ。なめらかな絹ごし豆腐とも相性が良い一品です。十六穀米か焼きビーフンを選べるのもうれしく、食後には杏仁豆腐も。セット全体として、しっかり満足感のあるボリュームでした。
【番外編】アジアを体感できる“話題の新店ランチ”
今回は「今年オープンした厳選5店」を紹介してきましたが、最後にもうひとつ。惜しくも5選からは外れましたが、今年、SNSなどでたびたび話題に上がった、本場アジアの雰囲気や味を楽しめる「話題の新店ランチ」を、3店ピックアップして紹介します!
リアル香港な世界で本場叉焼麺/J仔酒場(ジェイボーイサカバ)


渋谷「センター街」エリア。古いビルの地下フロアに広がる“香港っぽさ全開”の空間で、ランチ営業もスタート。
<店舗情報>
店名:J仔酒場(ジェイボーイサカバ)
住所:渋谷区宇田川町26-11 白馬ビルB1F
9月にオープンした香港料理店。スタッフ同士が広東語で会話するなど、空気感まで“現地”なムードも特徴です。内装は香港映画の制作に携わったチームが手がけたそうで、麺屋台や床屋、映画館、雑貨屋、ネオンサイン、トラム、重慶大厦を思わせる装飾など、70〜80年代の香港ストリートカルチャーをぎゅっと詰め込んだ空間が広がります。




画像=かごさんinstagramより
にんにく香る台湾ラーメンとジャンクな一品料理/矢場味仙 東京


JR渋谷駅から徒歩約10分。国道246号線沿いを道玄坂上方面へ進み、渋谷ソラスタの手前を右折した1ブロック目の角地。道玄坂方面から向かう場合は、「道玄坂上交番前」交差点で、「幸せのパンケーキ渋谷店」が入るビルを目印に左に曲がります。
<店舗情報>
店名:矢場味仙 東京
住所:渋谷区道玄坂1-17-7 いちのビル1F・2F
名古屋発の人気店「矢場味仙」が渋谷に進出し、10月にオープン。看板の「台湾ラーメン」だけでなく一品料理も充実しています。味仙グループとして都内にも複数店舗を展開しており、辛めでやや濃い味付けの“中毒性”が支持を集めています。昼どきには行列ができる日も。




画像=かごさんinstagramより
注文したのは「台湾ラーメン(アメリカン)」。「アメリカン」は辛さ控えめという意味。まずは澄んだしょうゆスープのうま味がすっと入ってきます。そのままでも飲みやすいのですが、味付き肉がスープに溶け込むと、ニンニクと辛さが立ち上がってきて味がガラッと変わるのが面白い!ちょっと太めでコシのある麺も特徴的で、満足感のある一杯です。
一品料理も評判で、「青菜炒め」は人気メニューの一つ。シャキシャキ食感で、塩味は意外と控えめ……と思いきや、ニンニクがガツンと効いてきます。さらに「ニンニクチャーハン」は、タレ味のしっとり系に“えぐい量”のニンニク。欠片のサイズも大きく、ビリッとした刺激までしっかり。ガツンと濃いめの“ジャンク感”がたまらなく、クセになるおいしさです。
おしゃれ東南アジアダイニングで濃厚なフォー/Night Market


JR渋谷駅から徒歩約8分。青山学院大学近くの複合ビル「COERU渋谷イースト」1階。クマのロゴが入った白いスタンド看板と、赤×緑の柄布が目印です。
<店舗情報>
店名:Night Market(ナイトマーケット)
住所:渋谷区渋谷2-6-6 COERU渋谷イースト
7月にオープンした東南アジア料理店。店内は緑が映えるモダンなテイストで、随所に東南アジアの要素を取り入れています。アンティーク家具やソファ席も配され、落ち着いて過ごせる雰囲気。リノベーション系のオフィスビル1階という立地も相まって、ゆとりある空間で食事を楽しめます。




画像=かごさんinstagramより
かごさんによれば、今年の渋谷ランチの傾向は、大型施設が開業によって「まとめてドン!」と飲食店が一気に増えるというより、毎月コツコツ新店が増えていく印象だったと言います。体感としては、渋谷で2店、3店目を出す「ドミナント戦略」による出店が目立ちました。エリア内での勝ちパターンを固め、効率的に認知と集客を高めようとする動きが加速した一年だったといえます。
そのようななかでも、宮益坂から道玄坂にかけての「ラーメン密度」は顕著に高まりましたね。原材料費や人件費の高騰を背景に、いわゆる「1000円の壁」を超え、1杯1200〜1300円が当たり前になりつつあります。価格上昇に伴い、おいしさだけでなく、体験やコンセプトまで含めた“納得感”を重視する店が増えた点も、今年らしい特徴といえるでしょう。同時に、間借り営業も引き続き増加傾向。初期コストを抑えて小さく始め、手応えを見ながら拡張していく流れが定着してきました。さらにインバウンド需要も追い風で、外国人からのSNS・口コミ投稿が目立つ店や、海外客を意識したメニューや空間づくりの店も増え続けています。
一方で、工事遅延や採用難を理由に、オープン延期や未開業のまま止まっている店舗も少なくなく、人手不足の影響は街の新陳代謝にも確実に表れ始めています。
渋谷の新店ランチは今、“味の競争”に加えて“街の環境変化”そのものを映す鏡になっているのかもしれません。そんな中でも今回の5店+話題の3店は、味も雰囲気もそれぞれ個性派ぞろい。新店って、入るのにちょっと勇気がいることもあるかと思いますが、気になる一軒があったら、ぜひまずはランチで試してみてください。










