心躍る世界を、渋谷から。

SHIBUYA × WATCH

渋谷―代官山を結ぶ「猿楽橋」架け替えへ 10年以上の全面通行止め 区役所で模型展示
猿楽橋

渋谷―代官山を結ぶ「猿楽橋」架け替えへ 10年以上の全面通行止め 区役所で模型展示

渋谷と代官山を結ぶ跨線橋「猿楽橋」の架け替え事業に関する模型展示が現在、渋谷区役所本庁舎2階エントランスホールで行われている。

展示中の 新しく架け替え予定の「猿楽橋」模型(縮尺1/100)。弓なりに弧を描く「アーチ橋」となる

90年以上にわたり街を支えてきた猿楽橋の老朽化を受け、令和8年度以降に予定される撤去・架設工事は、10年以上に及ぶ全面通行止めを伴う大規模事業となる。模型展示では、渋谷に関わる人々への周知を目的とし、架け替えに至った背景から工事中の迂回路案まで、事業の全体像を分かりやすく紹介している。

90年超の歴史、街の成長を支えた生活幹線

猿楽橋から渋谷・並木橋方面を望む風景

猿楽橋は1934(昭和9)年に完成。渋谷駅前の再開発工事で2013(平成25)年に閉店し取り壊された「東急東横店東館」が開店した年と同じで、築年数は90年を超える。都市計画道路補助第20号線(八幡通り)の一部として、並木橋交差点から代官山、さらに六本木方面へと人と車の流れをつないできた。JR山手線・埼京線をまたぐ鋼橋と、前後のコンクリート橋、高低差を支える擁壁など大型構造物が連続する複雑な構成も特徴だ。完成当時に比べ車両は大型化し、交通量も増加。現在は自動車が1日約1万5千台、歩行者約4千人、自転車約1300台が行き交う、地域に欠かせない交通インフラとなっている。

左=自動車のほか、自転車・歩行者の往来も多い 右=天秤状の支柱の両側に、かつて街灯が設置されていた

左=JR線をまたぐ鋼橋の下。強度と軽量性を兼ね備えるトラス構造は、機能美と複雑な幾何学模様が魅力的だ 右=高低差を支える擁壁

一方、経年劣化は進み、今まで大規模な耐震補強も行われてこなかった。橋の下を通る都市計画道路補助第18号線の拡幅計画への対応も迫られる中、渋谷区は2016(平成28)年度から有識者による「猿楽橋検討会」を組織。将来を見据え、複数の整備方法を長期にわたり検討してきた。議論されたのは、補強による「長寿命化案」、仮橋を設けて最終的に本設とする「仮橋本設案」、地下に通す「アンダーパス案」、さらには「廃止案」まで多岐にわたる。しかし、補強は一時的対策にとどまり、仮橋や地下案は用地取得などで時間と費用が増大。代官山―渋谷―六本木を結ぶ重要性や防災機能を考えると廃止も現実的ではなく、最終的に架け替えが最善と判断された。

夜間2時間の施工、10年以上の長期工事

JR線の上空を跨ぐため、架け替え工事が深夜のみに限定される

架け替え工事は概算事業費143億6000万円、工期は10年以上を想定。最大の難関は施工環境だ。山手線・埼京線は深夜まで運行しており、作業は終電後から始発前までの約2時間に限定される。周辺は建物が密集し、作業スペースの確保も容易ではない。こうした条件が工期長期化の要因となっている。

自動車の迂回路(渋谷区資料より)

近隣生活者にとって一番の悩みは工事期間中、猿楽橋が全面通行止めとなることだ。自動車の迂回路としては、①旧山手通り(または山手通り)から国道246号、六本木通りを利用するルート、②駒沢通り―明治通り―八幡通り―六本木通りを使うルートが想定されている。

歩行者の迂回ルートの一つとなる「四反道跨線人道橋」(恵比寿寄り)。現在、架け替え工事が進む新しい橋には「SHIBUYA」のロゴが設置され、街の玄関口として「渋谷到着」を印象づける

建設中の新しい橋の隣に、老朽化した「四反道跨線人道橋」が並ぶ。現在も使用されており、橋の上からは架け替えが進む新しい橋を正面に望める。新橋完成後には撤去される予定で、工事期間限定のフォトスポットとなっている

歩行者は、渋谷駅南跨線人道橋(渋谷サクラステージと旧新南口を結ぶ)や、架け替え工事中の四反道跨線人道橋の利用、自転車は、恵比寿寄りのJR線下をくぐる四反町ガードを通るか、渋谷サクラステージ側へ回る必要がある。いずれにしても、今よりは利便性が損なわれることは確かだ。

左=渋谷サクラステージと旧新南口を結ぶ「渋谷駅南跨線人道橋」。歩行者向けの渋谷寄りの迂回ルートの一つとなる 右=自転車通勤の人は、JR線下をくぐり抜けられる恵比寿駅寄りの「四反町ガード」ルートがおすすめ

今回の模型展示は、こうした工事の背景や影響、工事スケジュールを周知する狙いがある。展示は1月9日まで区役所で行われた後、1月18・19日にリフレッシュ氷川、1月23・24日に地域交流センター恵比寿でも巡回する。区は今後、公式サイトやSNS、説明会などを通じて周知を進め、通行止め開始時期など詳細は施工計画確定後に示す予定だという。

区役所に展示中の完成模型。左手前は並木橋交差点付近、右手奥は代官山方面。歩道の幅員は1.8mから2.25mに広くなり、歩きやすくなる見込み

取材・執筆

編集部・フジイ タカシ

渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。