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SOILで「コンポストを桜へ施肥」  渋谷の生ごみを“春の栄養”に小さな循環が芽吹く
SOIL広場(外構部)

SOILで「コンポストを桜へ施肥」  渋谷の生ごみを“春の栄養”に小さな循環が芽吹く

東急が運営するオープンイノベーション拠点「SOIL(SHIBUYA OPEN INNOVATION Labo)」の広場で3月2日、資源循環イベント「コンポストを桜へ施肥するイベント」が開かれた。昨年11月の「コンポストの作り方講座」、1月のフォロー講座に続く第3回目の開催。地域で育てた堆肥を桜の根元に施し、4月の観桜会へとつなげる取り組みだ。

オープンイノベーション拠点「SOIL(SHIBUYA OPEN INNOVATION Labo)」(渋谷三丁目)の広場(外構部)で開かれたイベントの様子

会場は、渋谷三丁目にあるSOIL施設前の広場(外構部)。三丁目で暮らす住民や、グーグルや渋谷ストリームなどで働くオフィスワーカーら約25人が参加し、それぞれの家庭や職場で熟成させた堆肥を持ち寄った。

各自の堆肥を合わせ、多様な微生物が混ざり合う

当日は、持参した堆肥を使って、赤玉土と「1対3」ほどの割合で混ぜ合わせた。各自の食生活によって性質の異なる堆肥を合わせることで、多様な微生物が交わり、よりバランスの取れた土壌になるという。

まず、初めに各自で熟成させた堆肥を使った土づくりの方法を説明

講師を務めたローカルフードサイクリング(LFC)コンポストアドバイザーの神山靖子さんは「入れている生ごみの内容が違えば、育つ微生物も違う。色や質感に差があっても、どれも正解です」と話す。

バック型コンポストを開くと、色味や湿り具合などがそれぞれ異なる堆肥が顔をのぞかせた。食生活はご家庭ごとに異なり、野菜中心の家庭もあれば、タンパク質や油分が多い家庭もある。その違いが微生物の種類や堆肥の状態に反映されるという

神山さんは一つ一つのコンポストに手を入れ、熟成具合などを確認。「水が足りない」「まだ熱があるので、もう少し熟成が必要」など、適切なアドバイスを与えていく。「生ごみであれば、何を入れても大丈夫。骨も問題ありませんが、貝殻は分解しません」と説明。また、栗の皮やタケノコの皮、トウモロコシの外皮など、繊維が強いものは分解に時間がかかるという

バッグ型の生ごみ用コンポストは福岡を拠点とするLFC(Local Food Cycling)が開発したもので、微生物そのものを入れるのではなく、野菜などにもともと付着している自然由来の微生物が働きやすい“基材”を使うのが特徴。1日約400グラム、合計40キロほどの生ごみを処理できるという。

「水切りは不要です。腐らせるのではなく、発酵・分解へ導くのがコンポスト。生ごみの量が減ることに驚く方も多い」と神山さん。

赤玉土に個性の異なる各自のコンポストで完成した堆肥を加えていく

赤玉土2~3:堆肥1の割合で、両手を使ってよくブレンドしていく。単一の堆肥よりも、各自持参の堆肥を少しずつ混ぜることで、栄養バランスの取れた土ができるという

参加者からは「土に触れるのが新鮮だった」「自分たちの生ごみが桜の栄養になると実感できた」といった声が上がった。

ブレンドした土は、桜の苗を一回り大きな鉢へ植え替える際に使用。空いた隙間や表面に土を入れ、手でやさしく押さえていく

「消費の街」から「循環の街」へ

イベントを主催した東急の安江愛さんは、その背景について「SOIL広場を地域に開かれた場にしたかった」と語る。入口には「どなたでもどうぞ」と掲げるが、実際には入りづらさもある。まずは自らイベントを主催し、地域との接点を増やそうと考えたという。

土づくりや植え替えを通じて、地域の住人やワーカーが集い、新たな接点やコミュニケーションが生まれている

「渋谷は“消費の街”という印象が強い。でもこれからは循環型社会の時代。地域で出たごみを地域で循環させる“小さな循環”をつくりたい」(安江さん)といい、自身も昨年11月から自宅でコンポストに取り組む。「どれだけ生ごみを出しているかを意識するようになり、食べ残しを減らそうと思うようになった。においも減り、意識の変化が一番大きい」と話す。

桜でつながる地域の時間

今回施肥したのは、明治通り沿いと同じ品種の陽光桜(ヨウコウザクラ)。明治通りから金王八幡宮へと続く参道の流れを意識して同じ桜を選んだ。3月26日には観桜会を予定し、地域住民や企業関係者らが集う場にしたいという。

「自分たちの手で育てた桜を、みんなで愛でるところまでがプロジェクト。地元の方同士はもちろん、これまで接点のなかった企業の方とも交流が生まれれば」と安江さん。

今回のイベントで施肥した桜の鉢。今年は例年よりも気温が高く、桜の開花時期も早まる見込み

都市の中心で生まれた小さな循環。生ごみは“消費の終着点”ではなく、“春への出発点”へと姿を変える。芽吹く桜は、その成果を映すシンボルになりそうだ。観桜会は誰でも参加できる。コンポストに興味ある人は、足を運んでみてはいかがだろうか。

開催場所

取材・執筆

編集部・フジイ タカシ

渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。