SHIBUYA × EVENT
2025-10-28
渋谷・青山通りを走った都電の記憶——白根記念博物館で写真展開催中
金子芳夫撮影写真からⅡ
2025-10-31
かつて渋谷駅前から青山通りを抜け、新橋や築地へと都電が走っていた時代があった。白根記念渋谷区郷土博物館・文学館で10月28日より、写真展「青山通りを走った都電―金子芳夫撮影写真からⅡ―」が始まった。
渋谷駅から宮益坂を上り、青山通りに出る。車の流れが絶えないこの大通りを歩いていると、ふと、「ここを都電が走っていたのか」と想像してしまうことある。白根記念渋谷区郷土博物館・文学館で始まった写真展「青山通りを走った都電―金子芳夫撮影写真からⅡ―」は、そんな記憶のかけらを呼び起こしてくれる展示だ。

昭和43年 青山車庫(撮影=金子芳夫)、現在の国連大学
展示されているのは、港区在住の写真家・金子芳夫さんが昭和40年代に撮影した都電の写真。渋谷駅前から青山通りを経て、新橋・築地・神保町方面へと向かう「6・9・10系統」がテーマになっている。当時の青山車庫(現在の国連大学の場所)や、宮益坂下の雑踏、沿道に立ち並ぶ店々の看板——写真の中には、いまはもう見られない街の表情が息づいている。
同展の魅力は、過去の写真に加えて、同じ場所を撮影した現在の写真が並んでいることだ。たとえば、かつて都電が通り抜けた青山学院前の交差点。背景の建物はすっかり変わったが、道の勾配や光の落ち方に、どこか当時の面影が残る。モノクロームの都電と、ガラスに反射する現代の街並み。その対比が、渋谷という街の“時間の積層”を静かに語っている。

昭和43年 渋谷駅前停留場(撮影=金子芳夫)
行先板や路線図といった資料も展示されており、都電が「庶民の足」だった時代の空気を実感できる。車の音に代わって、チンチンというベルが響いていた頃——渋谷の風景は、今よりもずっと人の歩幅でできていたのかもしれない。新しいビルが建ち、街が塗り替えられていく中で、残しておくべき“街の記憶”を考える機会となりそうだ。
- 写真展「青山通りを走った都電―金子芳夫撮影写真からⅡ―」
- 会期:2025年10月28日(火)~2026年2月1日(日)
 ※休館日:月曜日(祝日・休日の場合はその直後の平日)、12月29日~1月3日
- 時間: 9:00~17:00
- 会場:白根記念渋谷区郷土博物館・文学館 特別展示室
- 料金:一般100円、小中学生50円
- 展示:昭和40年代の都電写真と現在の写真(各24点)、都電行先方向板・路線図など
- 公式:https://shibuya-muse.jp
 





