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渋谷スクランブルスクエアと渋谷ストリームをつなぐ「国道246号横断デッキ」で10月7日、渋谷駅周辺の施設の警備員と渋谷警察署による実践的な合同防犯訓練が行われた。渋谷駅前エリアマネジメントと渋谷警察署が主催した同訓練は、多くの人が行き交う駅周辺で通行人が襲われ、不審物が発見されたという想定で実施。施設の警備員と警察署員らが連携し、緊急時の対応手順を確認した。
事件発生時は、施設の垣根を越えて警察と連携
会場となったデッキは、渋谷スクランブルスクエア2階と渋谷ストリームを結ぶ貫通通路だ。駅周辺には商業施設や鉄道施設が集まり、管理する事業者もそれぞれ異なっている。

旧東横線の渋谷駅跡地を整備した「国道246号横断デッキ」
多くの人が行き交う公共空間での事件に備え、駅周辺の事業者は現状、ほかの施設や警察と情報を共有し、来街者の安全を確保する体制づくりを進めている。その一環として2023年、渋谷駅前エリアマネジメントは駅周辺の事業者と「渋谷駅前エリアセキュリティに関する協定」を締結。警察や消防、各施設との連携を図り、同年度から合同防犯訓練を行っている。
こうした連携を現場で確かめる今回の訓練には、渋谷ストリーム、渋谷スクランブルスクエア、渋谷サクラステージなどの施設で、実際に事件が発生した際の初動対応を担う防災センターや警備の担当者らが参加。この日は負傷者への対応や避難誘導、警察への情報伝達に加え、不審物の捜索・処理まで一連の手順を確認した。
負傷者への対応から通報まで 初動対応を確認
訓練に先立ち、渋谷駅前エリアマネジメント代表理事の三渕卓さんがあいさつ。「再開発が進む中、さまざまな人が渋谷を訪れ、防犯にも複雑な対応が求められている。一つの施設だけでなく、駅周辺の事業者が協力しながら防犯体制を強化していきたい。今回の訓練が、渋谷の街の防犯を高めることにつながれば」と話した。


訓練開始に先立ち、冒頭のあいさつをする渋谷駅前エリアマネジメント代表理事の三渕卓さん
あいさつの後、訓練はデッキを巡回する警備員に通行人役が「けんかが起きている」と助けを求める場面から始まった。警備員が訴えのあった場所へ駆け付けると、けんかをしている人の姿はなく、複数の人が倒れていた。倒れた人たちは「痛い、痛い!」と叫びながら顔や目を押さえ、周囲には何が起きたか分からない人もいる。警備員は防災センターに状況を報告し、応援を要請した。


左=目や顔に痛みを訴える通行人役 右=デッキで倒れた通行人役のもとへ駆け付けて、状況確認をする警備員
警備員が一人ずつ話を聞くと、何者かがスプレーを噴射したことが分かった。さらに「拳銃のようなものを持っていた」という目撃情報も寄せられる。警備員は負傷者への対応を始めるとともに、聞き取った内容を整理して110番通報する手順を確認した。

素早く負傷者役を現場から避難誘導する警備員
銃声、人質事件を想定 警察が犯人役を確保
駆け付けた渋谷警察署員に対し、負傷者の状態や目撃情報、犯人の特徴などを伝えた。この時点では犯人がどこへ逃げたかは分からない状態。警察から依頼を受けた警備員が防犯カメラを確認すると、拳銃のようなものを手にした人物が、渋谷ストリーム脇の階段を下りる様子が映っていた。映像から得た情報も警察へ共有し、捜索につなげた。


左=連絡を受け、現場に駆け付ける渋谷警察署員ら 右=現場で状況を確認する警備員と警察
やがて階段の方向から銃声が聞こえ、通行人役が逃げてくる。警備員は「こちらは危険です」などと呼びかけ、現場に近づかないよう誘導した。拳銃のようなものを持った犯人役が人質を取る場面も。警察の部隊が対応する間、警備員は通行人役を現場から遠ざけた。その後、警察の部隊が犯人役を確保した。


左=銃声が響き、逃げ惑う通行人役 右=転んだ通行人役に銃口を向ける犯人役

逃げ遅れた通行人を人質に取った犯人への対応訓練の様子
訓練では、警備員が現場で見聞きしたことを警察に伝え、防犯カメラの情報も加えて状況を把握していく流れが浮かび上がった。負傷者への対応、犯人の捜索、周囲の避難が同時に必要になる中、施設側と警察がどの情報を共有するかも確認した。


防弾楯を持った警察が一気に犯人を囲み、投げ飛ばすシーン

犯人役を取り押さえて逮捕する渋谷警察署員ら
警備犬がバッグを発見 ロボットで不審物を搬送
第二部では、現場に爆発物が仕掛けられている可能性を想定した不審物処理訓練を実施。警備犬がデッキ上に置かれた複数のバッグを調べ、不審物を発見。警察の爆発物処理部隊が現場に入り、専用のロボットを使って外側の状態を確認した。


左=デッキに置かれたバッグのにおいを調べる警視庁警備犬 右=火薬のにおいに反応し、その場に座る警備犬


左=不審物を取り除くアームを持つロボットが登場 右=X線を照射する防護服姿の隊員
続いて、防護服を着た隊員が不審物をX線で撮影。内部の状態を調べた結果を踏まえ、爆発物処理部隊は現場から運び出すことを決めた。ロボットのアームで不審物を慎重につかみ、搬送用の資機材に収納。隊員が現場から運び出すまで、参加者は一連の作業を見守った。

防護服姿の隊員が不審物を搬送する防爆容器を近づける


ロボットアームで不審物をつかみ、アームを伸ばして防爆容器内へ移動
警備犬の展示訓練も 渋谷署は施設との連携呼びかけ
不審物処理訓練に続き、警備犬の展示訓練も行われた。担当者は、警備犬が爆発物の捜索のほか、災害現場での行方不明者の捜索などを担うと説明。4歳のシェパード「マルス号」が担当者の指示に従って歩き、障害物を跳び越え、隠された火薬のにおいを探す様子を披露した。爆発物のにおいを見つけた際には、その場に座るか伏せることで担当者に知らせるという。


左=ひそかに火薬をバッグ内に隠す 右=1つ1つバッグのにおいを嗅ぐ警備犬「マルス号」


左=このバッグも違うらしい 右=火薬のにおいを嗅ぎつけ、見事に爆発物を発見したマルス号
訓練後、渋谷警察署の田中勇署長は「渋谷は多くの人が集まる街。渋谷警察署としても事件に備える取り組みを続けていくが、警察だけではできない。参加した皆さんの協力を得ながら、安全・安心な街を守っていきたい。これからも渋谷の街をみんなで守りましょう」と呼びかけた。

訓練終了のあいさつをする渋谷警察署・田中勇署長
渋谷駅周辺では7月にも、施設や鉄道事業者が参加する「合同浸水対策訓練」が行われている。今回の訓練は、事件を最初に把握した施設側が負傷者と周囲の安全を確保し、集めた情報を警察へつなぐ動きを確かめる機会となった。

最後に警察署員や施設の警備員、エリマネなど関係者で記念撮影
取材・執筆:小山田滝音 / 撮影:富山淳







