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渋谷駅直結の連絡通路が「まちなかのモリ」に 180鉢の植物で緑化
渋谷スクランブルスクエアと渋谷ヒカリエを結ぶ連絡通路

渋谷駅直結の連絡通路が「まちなかのモリ」に 180鉢の植物で緑化

渋谷スクランブルスクエアと渋谷ヒカリエを結ぶ2階連絡通路で10月22日、約180鉢の植物を設置した期間限定の「緑化プロジェクト」が始まった。オフィスワーカーや買い物客、駅利用者らが日々行き交う通路に、多種多様な植物を配置。コンクリートやガラスに囲まれた都市空間に緑が加わり、いつもの通り道が、心地よさや清々しさを感じられる空間へと姿を変えている。

駅と街をつなぐ36メートルの通路を緑化

同プロジェクトは、東京都が推進する「東京グリーンビズ」の一環である「まちなかのモリ事業」の取り組み。駅の屋内空間や公園等につながる通路、人工地盤上など、従来は緑化されてこなかった場所に植物を設置し、駅等を利用する都民が緑を通じてゆとりと潤いを体験することや緑の効果をPRし都市観光機能を強化することを目指すもの。渋谷駅では東急と東京地下鉄(東京メトロ)が参画し、これまで緑化が難しかった駅施設や連絡通路などに植物を取り入れることで、都市空間における新たな緑のあり方を探る。緑化したのは、渋谷スクランブルスクエアと渋谷ヒカリエの両施設を結ぶ「連絡通路」の約36メートルの区間。通路の南北両側、窓際の手すりに沿ってそれぞれ90鉢、計180鉢を配置した。植物の高さや葉の形、色合いに変化を持たせ、連続した緑の風景をつくり出している。

渋谷ヒカリエと渋谷スクランブルスクエアを結ぶ2階連絡通路で実施されている緑化プロジェクト「まちなかのモリ」

同所を選んだ理由について、東急の担当者・篠田なつきさんは「渋谷ヒカリエと渋谷スクランブルスクエアをつなぎ、両側のアーバンコアにも接続する、駅と街を結ぶ象徴的な通路。人通りが多く、緑化による効果を実感していただきやすい場所だと考えた」と説明する。十分な通路幅があり、植物の維持管理や歩行者の安全を確保しやすいことも選定の決め手になったという。

高さや葉色の異なる植物を組み合わせ、自然な森を演出

植物の選定から空間デザイン、設置、メンテナンスまでを手がけたのは、渋谷スクランブルスクエア9階に店舗を構えるグリーンショップ「garage SHIBUYA(ガレージ シブヤ)」。同店代表の二村昌彦さんは「普段は通り過ぎる連絡通路が、植物の表情を楽しみながら歩ける場所になれば、という思いで計画した」と話す。

植栽では、高さ約2メートルの「アムステルダム」30鉢を空間の骨格として配置。そこに、オーガスタやモンステラなどの大きな葉を持つ植物と、オリーブなどの細かな葉を持つ植物を組み合わせ、景観に変化を持たせた。さらに、株元にはツデーなどを添え、ポトスやヘデラのつるが垂れ下がる姿も生かしながら、鉢ごとに緑の厚みと柔らかさを演出している。

二村さんは「高さや葉の大きさ、形、色合いの異なる植物を組み合わせ、自然な重なりと奥行きをつくることを意識した」と説明する。整然とした人工的な植栽とは異なり、大小さまざまな植物を不規則に配置。それぞれの植物の個性を生かしながら、森の中で多様な植物が共存しているかのような、自然で奥行きのある景観を目指したという。

今回の緑化で目指すのは、通路の景観を美しく整えることだけではない。多くの人々が足早に行き交う駅周辺に緑を取り入れ、日常の移動の中で気持ちが和らいだり、清々しさを感じたりできる空間をつくることにも狙いがある。通勤途中のオフィスワーカーや買い物客にとって、日々見慣れた通路に緑が加わることは、気分を切り替える小さなきっかけにもなりそうだ。目的地へ向かうためだけの通路が、植物の色や形、季節の変化を感じられる場所へと変わることで、街を歩く体験そのものに新たな魅力が生まれる。

東京メトロの担当者・本多秀行さんは「渋谷は多様な文化や人々が交わり、新しい価値が生まれる街である一方、街の中には大小さまざまな緑があり、都市の魅力に潤いを添えている」と話す。鉄道事業者として、駅や通路などを単なる移動のための通過点ではなく、心地よく過ごせる場所にしていきたい考えで、「目的地へ向かう途中でも季節や自然の変化を感じ、移動そのものを楽しんでいただくことで、渋谷の新たな魅力の発見や街の回遊につながれば」と期待を寄せる。

渋谷区内では同日から、恵比寿駅と恵比寿ガーデンプレイスを結ぶ「恵比寿スカイウォーク」でも同様の緑化が始まっている(10月22日~2027年2月26日)。一方、渋谷ヒカリエ4階の屋外空間「ヒカリエデッキ」では、10月31日から11月8日まで、既存の植栽を小さな森に見立てたアートイベント「渋谷 to 森」も開催される。篠田さんは「せっかくの機会なので、併せて楽しんでいただければ」と呼びかける。

連絡通路では効果検証の一環として、緑化空間を利用した人々を対象に、居心地や印象に関するQRコード付きのアンケートも実施している。アンケートはウェブ上でも回答できる(アンケートページ)。

緑化期間は2027年2月22日まで。都市のにぎわいの中に生まれた小さな森が、渋谷を行き交う人々にどのような変化をもたらすのか。今後の展開にも注目が集まる。

「まちなかのモリ事業」とは?

東京都では、人々の生活にゆとりと潤いを与える緑の価値を一層高め、未来に継承していくため、「東京グリーンビズ」の取組を推進している。その一環として、これまで緑化されてこなかった空間(駅の屋内空間や公園等につながる通路、人工地盤上)を緑化する取り組みを進めている。駅等を利用する人々に緑を通じてゆとりと潤いを体験してもらうとともに、緑化の効果を発信し、都市観光機能を強化することを目的としている。併せて、屋内空間等の緑化の推進に必要となる知見の収集と、その課題等の検証を行っている。

  • 詳しくはこちら(東京都サイトへ)

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取材・執筆

編集部・フジイ タカシ

渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。