SHIBUYA × WATCH
一般社団法人渋谷未来デザインとカバヤ食品は3月12日、渋谷を舞台に始動する「いい汗、渋谷。アクション」の概要を発表した。スポーツや働く現場、街の活動など、さまざまな場面で生まれる「いい汗」を新しい文化として広げていく取り組みで、産官学民の連携によって展開していく。発表会ではプロジェクトの概要説明に続き、渋谷区長や研究者、企業関係者らが登壇するトークセッションも行われ、「汗」をテーマにした多様な視点の議論が交わされた。
“いい汗”を文化に 渋谷から共創プロジェクト始動
プロジェクトは、渋谷未来デザインとカバヤ食品が共同で推進するもの。カバヤ食品のIMC部長・城戸陽子さんは、「日本有数の都市である渋谷を拠点に、新しい文化を“共創”という形で発信・創出していく取り組み」と位置付ける。同社は岡山で戦後間もなく創業し、食糧難の時代にキャラメルを作って人々に笑顔を届けることからスタートした菓子メーカー。現在はグミやチョコレート、ガムなど幅広い商品を展開するほか、「塩分チャージ」など「汗をかく人を応援する」商品も手がけている。

渋谷未来デザインの事務局長・長田新子さん(左)、カバヤ食品のIMC部長・城戸陽子さん(右)
一方、渋谷未来デザインは2018年、渋谷区が主体となり設立された産官学民連携の共創組織。事務局長の長田新子さんは「さまざまなステークホルダーとともにソーシャルイノベーションを生み出し、その成果を渋谷だけでなく他地域にも広げていくことを目指している」と説明する。

「いい汗、渋谷。アクション」が推進する4つのカテゴリー
「いい汗、渋谷。アクション」は、「自分のために汗をかく」「誰かのために汗をかく」「街のために汗をかく」という3つのコンセプトを掲げ、次の4つのカテゴリーで活動を展開する。
・ウェルネス(健康・スポーツ)
・エデュケーション(学び)
・ワーク(働く人の支援)
・ソーシャルアクティビティ(街の活動)
最初の取り組みとして、3月22日に開催される「渋谷・表参道 WOMEN’S RUN」で活動を開始。約5000人の女性ランナーが参加する大会で、給水所での塩分補給の啓発などを行う。
さらに、ストリートスポーツの次世代育成、恵比寿で開催予定の3人制バスケットボール国際大会のサポート、サウナ文化への取り組みなども予定する。教育分野では、発汗や身体の循環について学ぶ機会をつくり、子どもや保護者にも「汗」の意味を伝える。そのほか、「いい汗」ポップカルチャー応援として、原宿・竹下通りの各所に「塩分チャージ×しなこ」の広告掲出(4/7~23)、まちの「いい汗」応援として、渋谷の清掃ボランティアなどの活動をサポートしていく。

長田さんは「渋谷では、ボランティアなど街のために汗をかいている人が多い。そうした姿を称える文化をつくりたい」と話す。今後はソーシャルイノベーションウィークの場で「いい汗 SHIBUYA アワード」のような形で活動を紹介する構想もあるという。
区長から駅長まで 「いい汗」をめぐるトーク
続いて行われたトークセッションでは、「いい汗をかくこと」をテーマに、渋谷区長の長谷部健さん、順天堂大学スポーツ健康科学部の室伏由佳さん、WeWork Japanの熊谷慶太郎さん、東急建設の田中芳樹さん、東急電鉄の川島健一駅長が登壇した。

渋谷区長の長谷部健さん
「街からムーブメントが生まれるのが渋谷らしい」
長谷部区長は、この取り組みについて「面白いプロジェクトが始まったなというのが率直な感想」と笑顔を見せる。「行政が主導して“こういうプロジェクトをやろう”と音頭を取ると、うまくいかないことも多い。だからこそ、民間や街からこうしたムーブメントが生まれてくるのはとても良いことですし、渋谷らしいと思います」
渋谷区でも現在、来年度予算の議論が進んでいるといい、「職員も日々汗をかいている。汗をかくということ自体が渋谷らしい」と語った。

東急電鉄の川島健一駅長
1日55万人が利用する駅で“いい汗”
東急電鉄の川島駅長は、「東急線の渋谷駅は、1日平均約55万人のお客さまにご利用いただいています。安全・安定輸送、そして安心してご利用いただける環境を守るために、日夜汗をかきながら頑張っています」と渋谷駅の日常を振り返る。さらに「多くのお客さまに渋谷の街へ来ていただけるよう、これからも取り組んでいきたい」と話す。

東急建設の田中芳樹さん
再開発の現場にも“いい汗”
渋谷駅周辺の再開発を担う東急建設の田中さんは、「渋谷区内では建築、鉄道、地下工事を含めて16~17カ所の現場が動いています。スクランブルスクエアの工事では、最盛期には1日約2000人の作業員が出入りしていました」と現場の実情を語った。
多くの人が働く現場では熱中症対策が欠かせず、「塩分チャージを展開するカバヤ食品さんとの連携は非常に意義深い」(田中さん)と話す。長谷部区長も「渋谷の工事は普通の工事ではない」と続け、「鉄道を動かしながら、多くの人が行き交う中で安全に工事を進めなければならない。冷や汗も含めて、さまざまな汗をかいている現場だと思います」と現場の苦労をねぎらった。

WeWork Japanの熊谷慶太郎さん
働く場から生まれる“汗”
渋谷スクランブルスクエアに拠点を構えるWeWork Japanの熊谷さんは、コミュニティづくりの視点から話した。「WeWorkは世界600拠点以上、日本でも40拠点以上ありますが、日本最大の拠点が渋谷スクランブルスクエアです。約200社が集うコミュニティになっています」。昨年は入居企業の要望を受け、代々木体育館を貸し切って大運動会を開催したという。「ハイブリッドワークが進む中で、出社する意味やチームワークづくりに課題を感じる企業も多い。そこで運動会をやったら、すごく盛り上がりました。働くことだけでなく、どう生きるかというライフスタイルまで含めて“いい汗”につながった」と手ごたえを感じたという。

順天堂大学スポーツ健康科学部の室伏由佳さん
スポーツ研究者が語る「汗の力」
オリンピアンであり研究者でもある室伏由佳さんは、「私はオリンピックを目指してたくさん汗をかいてきましたし、時には冷や汗もかいてきました(笑)。でも、身体活動量を上げることは本当に大切」と身体活動の重要性を語った。
特に女性の身体活動量を高めたいといい、「若いうちからしっかり動いて筋肉をつけることは、将来の健康にもつながります。汗をかくと心も爽やかになるし、モチベーションにもなる。体にも心にも効く、とてもいい言葉だと思います」とプロジェクトへの期待を語った。

「いい汗」をテーマに和やかに進むトークイベント
それぞれの「いい汗宣言」
トークの終盤では、登壇者がフリップで「私のいい汗宣言」を発表した。


川島駅長:「渋谷にお越しいただく皆さまへ 笑顔でお迎えします!」
安全・安定輸送のために、いい汗をかいていきます。
田中さん(東急建設):「渋谷のまちのために 人知れずいい汗(冷や汗含む)をかく」
私たちは黒子として、気づかれないところで汗をかきながら、結果として街のために良いものができ、皆さんに喜んでいただければと思っています。


熊谷さん(WeWork Japan):「コミュニティ」
働くことだけでなく、どう生きるかというライフスタイルも大切にしながら、渋谷でしっかりコミュニティをつくっていきたいと思います。
室伏さん:「すべての人の… “ウェルボディ”のために!」
私自身もいい汗をかきながら、この理念を広く共有していきたいと思っています。体を動かし、筋肉をつけ、代謝を上げ、美しい汗をかきながら、皆さんが未来に向かって進んでいけるようサポートしたいです。

長谷部区長:「流汗悟道(りゅうかんごどう)」
区長は四文字熟語について、「努力して汗を流し、その先に見えるものを得るという意味」と説明し、「今朝も寒い中で代々木公園を走ってきたが、走り終わるとすっきりする。そういうことを続けていくと何か見えてくる」と語った。

応援サポーターに就任したチアリーマンズのパフォーマンス
最後には、応援サポーターに就任したチアリーマンズが登場。会社員として働きながら活動する男性チアチームがパフォーマンスを披露し、会場を盛り上げた。
“いい汗”をキーワードに、スポーツ、仕事、街づくりなど多様な分野をつなぐ今回のプロジェクト。渋谷からどのような文化が生まれるのか、今後の展開が注目される。








