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2026-09-19
松濤美術館で「路上、お邪魔ですか?」 路上観察学会40年、都市の公共性を問う
「路上は誰のもの?」現代美術から遊具、大道芸、銭湯まで
2026-09-07
「路上」をテーマに都市の公共性を考える展覧会「路上、お邪魔ですか?」が9月19日から、渋谷区立松濤美術館で開催される。
路上を、単なる移動のための「道路」ではなく、人が集まり、遊び、表現し、ときに制度やルールから逸脱する「共有された土地(Shared ground)」として捉える同展。現代美術や歴史資料、公園の遊具、大道芸、銭湯など幅広い題材を通して、「路上は誰のものか」という問いから、自由と管理、秩序と逸脱がせめぎ合う公共空間の在り方を考える。
路上観察学会40年 「見る目」から都市を捉え直す
開催の契機の一つとなったのが、1986(昭和61)年に発足し、今年で創設40周年を迎えた「路上観察学会」。前衛美術家・赤瀬川原平さんや建築家・藤森照信さんらが結成した同学会は、都市の中に偶然生まれた不思議な建造物や風景などを見つけ、撮影し、独自の視点で読み解く活動を展開してきた。作者も実用性もないにもかかわらず、芸術以上に芸術的に見えるものを「超芸術」と捉え、何げない街角に新たな価値を見いだしてきた。

路上観察学会 発会式 1986 ©飯村昭彦
会場は、「遊びとハック」「道路以後」「路上の発見」「道か、広場か」「ルール」「路上から都市へ」「終章、再び路上へ」の7つのセクションで構成する。
遊具、大道芸、新宿西口 路上に生まれる「自由」と「秩序」
「遊びとハック」では、アーティスト・鈴木康広さんの《遊具の透視法》や、95歳の現役大道芸人・ギリヤーク尼ヶ崎さんの活動を紹介する。鈴木さんの作品では、かつて公園で親しまれた球体の回転遊具「グローブジャングル」を題材に、遊びと安全を巡る秩序の変化を問い掛ける。一方、ギリヤークさんが路上にチョークで描く「円」は、踊るための舞台であると同時に、芸能者と観客が一つの空間を共有するための境界として捉える。
「路上の発見」では、路上観察学会の40年間を振り返る。街中で思わず目を奪われるものを「物件」と呼び、写真に収め、互いに言葉を添えて共有してきた「超芸術トマソン」や「建築探偵団」などの活動を紹介。都市そのものを変えるのではなく、「見る目」を変えることで日常の風景に新たな意味を発見してきた軌跡をたどる。
「道か、広場か」では、1960年代以降の新宿駅西口を題材に、公共空間の変遷を取り上げる。かつて「広場」と呼ばれ、人々が集い議論する場だった同所が「通路」へと位置付けを変えられた歴史や、1990年代のダンボールハウス、アーティストによる活動などを、Chim↑Pom from Smappa!Group、山田脩二さん、迫川尚子さんらの作品や記録から振り返る。

左上=昼間に遊ぶ子どもたちの映像を、夜に同じ遊具へ投影した作品/鈴木康広《遊具の透視法》 2001 撮影:川内倫子、左下=GROUP《眠らない都市》 部分模型 2026 ディレクション 涌井智仁、右=道路標識などを撮影し、都市空間に張り巡らされたルールや制度を可視化した作品/ダニエル・エヴェレット《Untitled (from Marker)》 2024 © Daniel Everett

1990年代、路上生活者たちによって新宿駅西口地下に生まれた「新宿ダンボール村」。アーティストがダンボールハウスに絵を描く活動も行われた。/迫川尚子 お面をかぶっておどける新城さん。沖縄出身。右翼の街宣車だろうか。君が代が流れると頭をかかえてうずくまった。1996年8月 ©迫川尚子
廃業した銭湯を「山車」に 失われた場所の記憶を路上へ
最終章には、建築家やデザイナーらで構成される銭湯山車巡行部が手がける、廃業した銭湯から救い出したカラン(蛇口)やロッカー、看板、大黒柱などの部材を組み合わせて作られた《銭湯山車》が登場する。失われた銭湯を「動ける銭湯」として再構成し、山車として街を巡ることで、かつて銭湯が担った「人が集まる場所」という機能を再び路上へ持ち出す試みとなる。

最終日の11月23日には、銭湯山車巡行部が《銭湯山車》とともに渋谷の街へ繰り出す「銭湯山車巡行」を行う予定/銭湯山車巡行部《銭湯山車》 2019 ©Jun Tainaka
出展するのは、路上観察学会のほか、鈴木康広さん、ギリヤーク尼ヶ崎さん、Chim↑Pom from Smappa!Group、山田脩二さん、迫川尚子さん、児玉房子さん、ダニエル・エヴェレットさん、銭湯山車巡行部、建築コレクティブ「GROUP」など。
会期中には関連企画も行う。10月10日には、白根記念渋谷区郷土博物館・文学館学芸員の田原光泰さんを講師に迎え、渋谷川の痕跡をたどるまち歩き「ブラ渋谷特別編『渋谷川で路上観察!』」を開催。午前中に渋谷の地形や歴史について学び、午後は渋谷駅から参道橋跡、原宿橋跡を経て東郷神社まで歩く。
10月17日には、静岡県立美術館館長で東京大学名誉教授の木下直之さんによる記念講演会「路上にあるものと路傍にあるもの」を開催。11月22日には同展を企画した本橋仁さん(金沢21世紀美術館学芸員)と木原天彦さん(渋谷区立松濤美術館学芸員)によるクロージングトークを予定する。
各関連企画への参加は、公式サイトの申込フォームから事前申し込みが必要。10時~18時(金曜は20時まで、入館は閉館30分前まで)。11月23日まで。
開催概要
展覧会名: | 路上、お邪魔ですか? |
|---|---|
開催期間: | 2026年9月19日(土)~11月23日(月・祝) |
開館時間: | 午前10時~午後6時(金曜は午後8時まで、入館は閉館30分前まで) |
会場: | 渋谷区立松濤美術館 |
入館料: | 一般1000円、大学生800円、高校生・60歳以上500円、小中学生100円 |
公式: | |
主催: | 渋谷区立松濤美術館 |
学術協力: | 路上観察学会 |
後援: | 現代風俗研究会、日本生活学会、高松市、日本建築学会 |






