SHIBUYA × WATCH
「渋谷、ハレとケ」は、渋谷の日常と非日常を写真で切り撮るフォトギャラリー。今回のテーマは、「ハチ、ハチ、ハチ 令和8年8月8日の渋谷」。令和8年8月8日。「8」が三つ並ぶ、少し特別な一日。朝8時8分から夜8時8分まで、街のあちこちに潜む「8」を追い求めながら、渋谷をさまよい歩く。
そこで出会ったのは、特別な日の「ハレ」と、そのすぐ傍らをいつものように流れていく、何げない日常の「ケ」。一日限りの渋谷の表情を、写真で切り撮ってみたい。
「8」を追う旅の始まりは、ハチ公前広場から
朝8時を過ぎたころ。
忠犬ハチ公像の前には、待ち合わせをする人や記念写真を撮る外国人観光客の姿が、少しずつ増え始めていた。

令和8年8月8日8時8分8秒を刻む
渋谷では見慣れた朝の風景。
けれど、この日に限っては、「ハチ」という響きさえ、いつもと少し違って聞こえる。
街の中にある「8」の断片を探す
視線を少し変えてみると、街には思いのほか、たくさんの「8」が潜んでいる。

渋谷駅のA8番出口


左)渋谷ヒカリエ8階の「8/」。かつて88星座を映し出した東急文化会館のプラネタリウムがあった場所 右)渋谷フクラス内のバス8番のりば


左)新橋駅行きの「88系統」 右)センター街の老舗バー「八月の鯨」の看板


左)「8・8・8(パチ・パチ・パチ)」。ジャンジャン玉が出そうだ 右)桜丘町「Green Thumb」の8の字パン


左)渋谷サクラステージ・にぎわい広場の「8」……いや、「S」か 右)宮下公園のハチ公も、大小二つの輪からなる「8」の字の中に

公園通りの街灯にも「8」が……
普段なら気にも留めずに通り過ぎる数字が、この日は妙に目に飛び込んでくる。
ひとつ見つけると、また次の「8」を探したくなる。
そうして街を歩いているうちに、見慣れた渋谷が少しだけ違う表情を見せ始めた。

渋谷の最高気温は33℃。38℃までは上がらないかな。Jリーグの開幕も8月8日だったら……と、何でも「8」にこじつけたくなる
この日は、真夏の強い日差しが街を照りつけた。
スクランブル交差点を行き交う人々の手には、白い日傘が目立つ。
信号が変わるたび、傘の群れが交差点を横切っていく。

ふと見上げれば、大型ビジョンにも「88」の数字が。
これは、ちょっとした奇跡だ。
街そのものが、この一日を祝っているようにも見えた。
“最後の夏”を迎える渋谷の顔
渋谷の「ハレ」の一方で、静かにひとつの節目を迎えようとしている場所もある。
1968(昭和43)年に開業した西武渋谷店。
2026年9月30日、58年の歴史に幕を下ろす。

店頭では、閉店日までのカウントダウンが始まっている
この日は、渋谷の象徴「ハチ公」をテーマにした都市型カルチャープロジェクト「HACHI-8 PROJECT 2026」のメイン会場の一つとなり、館内には8人のキュレーターと88人のアーティストによる作品が並んでいた。

西武渋谷店内の「HACHI-8 PROJECT 2026」会場
「8」が重なる日に、「ハチ公」を巡るアートが西武渋谷店を彩る。

華やかな祝祭の景色と、その先に待つ閉店という時間。
2026年の夏にしか見ることのできない渋谷の表情が、そこにはあった。
旅の締めくくりは、盆踊り
日が傾き始めると、渋谷駅前には昼間とはまた違う熱気が立ち込める。


SHIBUYA109を背に組まれた櫓(やぐら)。
連なるちょうちん。
浴衣姿で踊る人たち。
その輪に入り、見よう見まねで振りを合わせる外国人観光客。
いつもは車が行き交う道玄坂や文化村通りに、大きな踊りの輪が広がっていく。

日ごろの喧噪と似ているようで、どこか違う。ネオンや大型ビジョンの光と、ちょうちんの柔らかな明かりが入り交じり、真夏の渋谷に一夜限りの非日常が浮かび上がる。
朝8時8分に始まった「8」を巡る旅も、そろそろ終わり。
最後に向かったのは、ふたたびハチ公前広場だった。
夜になっても、ハチ公像の前には記念撮影を待つ人の列が続いている。
一日中、「8」を探して歩き続けたせいか、最後には街のあらゆるものが「8」に見えてくる。
「8」に取り憑かれ、撮り疲れた(笑)一日。

令和8年8月8日、夜8時8分。
旅の終着点は、やっぱり「ハチ」だった。
取材・執筆:フジイタカシ / 撮影:松葉理








