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渋谷スクランブル交差点の大型ビジョンに「観光客の顔」  東急が新サービス実証 2027年春の事業化目指す
ハチ公前広場

渋谷スクランブル交差点の大型ビジョンに「観光客の顔」  東急が新サービス実証 2027年春の事業化目指す

東急が7月24日~26日、渋谷スクランブル交差点に面した商業施設「QFRONT」(渋谷区宇田川町)壁面の屋外ビジョン「Q’S EYE(キューズアイ)」に観光客の顔写真を映す新サービス「(仮称)Shibuya Scramble Crossing Photo」のテスト上映を行った。

東京都が6月30日に発表した「令和7年国・地域別外国人旅行者行動特性調査」によると、訪都外国人旅行者の訪問先は「渋谷」が60.3%で、令和4年から4年連続の1位となった。訪都中の活動でも、「高層ビル、近代的な街並み・景観・建築物を楽しむ」が51.1%に上る。多くの人が四方から行き交い、大型街頭ビジョンに囲まれた渋谷駅前スクランブル交差点は、東京を象徴する都市風景として外国人観光客の人気を集めている。今回の取り組みは、世界的な観光スポットとなった交差点を、新たな観光体験として商品化する試みとなる。

日本を代表する観光スポットとなった「渋谷駅前スクランブル交差点」

外国人旅行者の「顔ハメ」15秒間上映

テスト上映は3日間、各日10時、13時、16時、19時台に実施。1回につき4人の顔写真を1人15秒ずつ、計1分間流した。ドイツ、イタリア、アメリカ、ベトナム、韓国、インドなど、幅広い国・地域の外国人旅行者48人が無料モニターとして参加した。

上映画像には、渋谷駅周辺や忠犬ハチ公をイメージしたイラストのフレームを採用。犬の顔部分に参加者の写真を当てはめ、「Q’S EYE」の大型画面に映した。参加者には、上映時刻に合わせてハチ公前広場付近で鑑賞するよう案内した。

大型ビジョンに上映された「自分の顔ハメ」を撮影する参加者

自分の顔が映ると、参加者はスマートフォンで写真や動画を撮影し、SNSに投稿したり、母国の家族や友人に送ったりしていた。上映を見ていた別の外国人観光客から「どこで申し込めるのか」と問い合わせを受ける場面もあったという。東急は、スクランブル交差点と一緒に撮影できること自体に価値を感じる外国人が多く、同交差点の海外での知名度の高さを改めて確認できたとしている。

交差点から渋谷の街へ回遊を促す

ドイツから一人で日本を訪れたアレックスさん(22)は、「ドイツにいる友人たちに見せたい」と参加。画面の演出について、「キラキラするようなアニメーションがあるといい」「ハチ公のイラストを選べたり、忍者のフレームがあったりしたら格好いい」と話した。

左=日本代表のユニフォームを着用するドイツから来たアレックスさん 右=アレックスさんの顔ハメ画像

日本の大学に通うミャンマー出身のプウ・テッイ・ウェイ・シイさん(22)は、「日本の有名な場所にある大きなスクリーンで自分の写真を見るのは、少し恥ずかしいけれど面白い」と笑顔を見せた。

ミャンマー出身のプウ・テッイ・ウェイ・シイさん

企画の背景について、渋谷の街の活性化に取り組む東急の担当者は、「渋谷では、スクランブル交差点やハチ公を見た後、ほかのエリアへ移動してしまう観光客が多いことに課題を感じていた」と説明する。 「スクランブル交差点は世界的な知名度が高く、コロナ禍以降は訪日外国人旅行者も増えている。その中でも渋谷を訪れる人は多く、観光サービスにはまだ伸びしろがある」と話す。大型ビジョンへの出演を観光目的の一つに加えることで、街での滞在時間を延ばし、周辺エリアへの回遊につなげる狙いがある。将来的には、訪日外国人旅行者だけでなく、国内の観光客にも利用してもらいたい考えだという。

時間帯やサイズ、作業時間の短縮など課題も

実証実験では、参加者が赤信号で車道に出たり、交差点内に三脚を立てたりしないかなど、安全面も検証した。事前に注意事項を動画で案内した結果、大きな問題は確認されなかった。今後、常時警備員を配置しなくても安全に運用できるかを含め、実施方法を精査する。

一方、時間帯による見え方の違いも明らかになった。夜間は大型ビジョンの映像を鮮明に見られるが、画面を背景に参加者自身をスマートフォンで撮影しようとすると、人物が暗くなりやすい。反対に昼間は人物を撮影しやすいものの、日差しなどの影響でビジョンの映像が見えにくくなる場合がある。商品化に当たり、「自分とビジョンを一緒に撮るなら昼間」「ビジョンの映像を鮮明に見るなら夜間」など、目的に応じた時間帯の選び方を案内する必要があるとみる。そのほか、「顔のサイズをもっと大きくしてほしい」「アニメーションやBGM、複数のフレームから選べるといい」などの意見もあり、特別感を高める演出も今後の検討課題となる。

現在は、申し込みから上映まで約6営業日を要する。旅行者は短期間で別の都市へ移動することも多いため、当日申し込み、当日上映を可能にする仕組みを目指す。正式サービスでは、ウェブで空き枠(時間帯)を選び、顔写真をアップロードする方式を想定。政治的な主張や公序良俗に反していないかなど、事前審査を行った上で放映する。

価格設定は、米ニューヨークのタイムズスクエアで展開されている類似サービスなどを参考にしながら、5,000円~1万円程度を想定。今後は、参加者へのアンケートを基に価格や演出、申し込み方法を詰めるほか、上映画像のデータ提供や記念グッズ化、メッセージを添える機能なども検討する。

東急は今回得た反応や課題を検証し、渋谷スクランブル交差点を「見る」「渡る」「撮る」だけでなく、自らが街の風景の一部になる観光体験として、2027年3月のサービス開始を目指す。

開催場所

取材・執筆

編集部・フジイ タカシ

渋谷の記録係。渋谷のカルチャー情報のほか、旬のニュースや話題、日々感じる事を書き綴っていきます。