SHIBUYA × WATCH
渋谷ストリームの大階段に面する「稲荷橋広場」付近の渋谷川沿いに11月4日、アーティストのBAKIBAKI(バキバキ)さんが高圧洗浄機を使って制作した大型アート作品が登場した。11月2日から3日にかけて、川沿いの壁面に蓄積した汚れを高圧洗浄機で洗い落とし、その跡を模様として浮かび上がらせた。
今回の作品は、渋谷の街全体をアートの舞台とする「第18回渋谷芸術祭2026~SHIBUYA ART SCRAMBLE~」の一環。清掃機器メーカーのケルヒャー ジャパンが展開する「洗伝PROJECT」と連携し、公共空間の清掃とアート制作を組み合わせたもの。
汚れを落とすことで描く「リバースグラフィティ」

11月3日、高圧洗浄機を使って渋谷川沿いの壁面に幾何学模様を描いたBAKIBAKIさん
作品に用いられたのは、塗料を使わず、高圧の水で壁面の汚れを落とし、その濃淡によって絵柄を浮かび上がらせる「リバースグラフィティ」と呼ばれる技法。通常の壁画とは異なり、汚れを落とした部分と残した部分のコントラストを利用して表現するのが特徴で、街の景観を生かしながらアートを生み出す。
11月3日の制作現場では、渋谷川沿いの壁面に模様をかたどったテンプレートを当て、高圧洗浄機の水を吹き付けながら一つ一つの図柄を描き出す作業が行われた。長年蓄積した汚れが洗い流されると、壁面本来の色が現れ、幾何学模様が浮かび上がった。

テンプレートを使い、高圧の水で壁面の汚れを落としていく制作風景
制作を手がけたBAKIBAKIさんは、大阪府出身の現代アーティスト。日本古来の伝統文様を現代的にアレンジした幾何学模様「バキ柄」を特徴とし、国内外で壁画制作などを手がけてきた。2025年の大阪・関西万博では壁画作品「希望の系譜」を制作。今年10月には大阪・十三にアート、テクノロジー、クラフトが交わるアートバー「OKUNOMA」を開設するなど、活動の幅を広げている。

都市の清掃とアートを融合、新たな景観づくりに

渋谷川沿いの壁面に浮かび上がった幾何学模様のアート作品
今回の取り組みを企画したケルヒャー ジャパンは、世界各地で歴史的建造物などの洗浄・再生に取り組んでいる。日本では、清掃活動を通じて地域や文化の魅力を伝える「洗伝PROJECT」を展開。今年4月には、栃木県足利市の松田川ダムの壁面に、高圧洗浄機を使って巨大な「侍」の姿を描き出した。

ケルヒャーは2026年4月、足利市・松田川ダム30周年を記念してプロジェクト「BRING BACK THE SAMURAI」を実施し、ダム壁面に巨大な「侍」アートを完成させた
渋谷川での制作は、日常的に人々が行き交う公共空間をアートの舞台として活用する試み。洗浄によって街をきれいにするだけでなく、その過程を芸術表現へと変えることで、都市美化と文化活動の両立を目指す。

塗料や化学物質を使用せず、水圧だけで模様を描く手法は、環境負荷にも配慮したもの。ケルヒャー ジャパンは、今後も行政や自治体、企業、教育機関などとの連携を通じ、清掃とアートを組み合わせた活動を広げていくという。
作品は、渋谷ストリーム前の稲荷橋広場付近にある渋谷川沿いの壁面で鑑賞できる。
取材・執筆:フジイタカシ / 撮影:大鶴剛志







