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「奥渋エリア」おすすめランチ! 渋谷在勤・かごさんが厳選する5店を紹介
奥渋

「奥渋エリア」おすすめランチ! 渋谷在勤・かごさんが厳選する5店を紹介

渋谷にある大手企業に勤めるかごさんは、日々のランチタイムに渋谷の飲食店を10年以上も食べ歩き続け、その数なんと2000店を超える「渋谷一のランチナビゲーター」です。そんなかごさんが、毎回テーマに沿ったおすすめのお店を紹介。グルメ口コミサイトとは一味も二味も違うお店をこっそり教えます。

プロフィール

かごさん

渋谷一のランチナビゲーター

普段は渋谷の大手企業に勤務。2012年頃からランチ食べ歩き&ブログやSNSで発信する活動を開始。今や渋谷だけに留まらず、東京全域をはじめ全国の飲食店も訪問。

今回のテーマ:「奥渋エリア」

「奥渋(おくしぶ)」は、渋谷駅周辺の喧騒を抜けた先、代々木公園の西側に広がるエリアです。旧東急百貨店本店から代々木八幡へと真っすぐに続く道沿いには、昔ながらの商店街と個性的な飲食店やカフェ、ギャラリーが点在し、独自の雰囲気を醸し出しています。

東に井の頭通り、西は山手通りと、幹線道路に囲まれたエリアながらも、神山町・富ヶ谷を中心とした一帯は、穏やかで居心地の良い街並みが続きます。さらに西側へと高台を上ると、都内屈指の高級住宅街として知られる松濤エリアに至り、ニュージーランド大使館をはじめ、大使館が点在する国際色豊かな一角も顔をのぞかせます。

奥渋エリア(赤い囲み部分が今回の範囲)

このエリアの魅力は、自然と都市が共存する静けさと、独自のカルチャーが交差する空気感にあります。チェーン店よりも個人経営の店が多く、オーナーのこだわりが感じられる飲食店や雑貨店が立ち並び、散策するだけでも新たな発見があります。また、スタートアップを含む感度の高いクリエイターやカルチャー層も多く集まり、週末には散策を楽しむ人々で賑わいます。

今回は、そんな奥渋の魅力が詰まったエリアから、ゆったりランチタイムを楽しめる飲食店を5店、かごさんにご紹介いただきます。

フレンチ出身シェフが手がける本気バーガー/Chillmatic

JR渋谷駅から徒歩約10分。工事中の「東急百貨店本店跡」からオーチャードロードを進み、「神山町東」交差点を過ぎると右手にあります。入口は一本裏手の宇田川遊歩道沿い、「すし光琳」の看板が目印です。

<店舗情報>
店名:Chillmatic(チルマティック) 
住所:渋谷区神山町11-10 梅澤ビル1F
渋谷ブリッジから宇田川町を経て2024(令和6)年12月に移転オープンした人気ハンバーガー屋。フレンチの名店で腕を磨いたシェフが、1週間以上かけてパストラミ(牛肉)を仕込むなど、そのたしかな技術とセンスが評判を呼んでいます。

画像=かごさんinstagramより

かごさんのおすすめポイント!

看板メニューの「Chillmatic Burger」は、ほどよい塩気のパストラミと、ジューシーで食べ応えのある熟成肉のパティが主役。粒マスタードソースの酸味とプチッとした食感がアクセントとなり、甘みのあるふんわり&ザクっとしたバンズでシンプルに挟んだ一品です。

肉の旨味と甘じょっぱさをダイレクトに味わえるこのバーガーは、力強さと上品さが同居する絶品。さらに、オープンキッチンならではのライブ感が、その魅力をいっそう引き立てています。

“これが馬肉!?” 驚きのやわらかさと旨味が楽しめる/グルメ阿井

JR渋谷駅から徒歩約13分。神山商店街沿いを進み、白洋舎ビルを過ぎたあたり、富ヶ谷一丁目通り商店街に入る少し手前。この丸い看板が目印です。

<店舗情報>
店名:グルメ阿井
住所:渋谷区神山町3-8 2F
馬肉が主役のステーキハウス。2025(令和7)年3月にオープンしたばかりにも関わらず、多くの食通から高い評価を集めています。厳選された馬肉を使い、クセのない旨味と驚くほどやわらかな食感が楽しめます。

画像=かごさんinstagramより

かごさんのおすすめポイント!

おすすめは「グルメ阿井セット」。看板メニューの馬ヒレステーキに加え、馬肉ハンバーグや牛ハラミが楽しめる豪華なセットメニューです。

馬ヒレステーキは、見た目からは想像できないほどやわらかく、馬肉特有の臭みもなくとても食べやすい一品。「これが馬肉?」と驚くほどクセがありません。一方の馬肉ハンバーグは、馬肉とは思えないほどジューシー。そして上質な旨味がシャリアピンソースとよく合います。各120g、合計360gというボリュームながら、馬肉ならではのヘルシーさもあり、最後までおいしく食べ切れる満足度の高いセットです。

刺激じゃなくて、旨味でハマる。鎌倉発の“新感覚麻婆豆腐”/かかん

JR渋谷駅から徒歩約16分、宇田川遊歩道沿いの人気カフェ「FUGLEN TOKYO」の斜め向かい側、水色のタイル張りのお店。すぐそばには代々木公園が広がる落ち着いたロケーションです。

<店舗情報>
店名:かかん 富ヶ谷店
住所:渋谷区富ヶ谷1-17-3
鎌倉で行列の絶えない麻婆豆腐専門店として人気を博す「かかん」が、2022(令和4)年4月に奥渋へ出店。四川の技法を活かしつつ、辛さや痺れに頼らず、旨味とコクで勝負する唯一無二の一皿が話題です。

画像=かごさんinstagramより

かごさんのおすすめポイント!

おすすめは「麻婆豆腐定食」。ほどよい辛さと豆板醤のコク深い旨味が絶妙で、ラー油が効いていながらもどこか優しい味わいに仕上がっています。フルーティーな香りの花椒と、しびれを感じる花椒、そして唐辛子の3種のスパイスで味のアレンジも可能ですが、思わずそのまま食べ続けたくなるおいしさです。

生姜が香るスープや味わい深いザーサイも好評で、食後には香り豊かな杏仁豆腐が口の中をさっぱりと整えてくれます。センスの良い内装や食器のかわいさも魅力で、行列ができるのも納得の一軒です。

香り・甘み・喉ごし、渋谷・奥座敷で味わう手打ち蕎麦/神山

JR渋谷駅から徒歩約10分。賑わいの中心から少し離れた場所、渋谷クレストンホテルの裏手に佇む一軒。涼やかな笹竹が茂る石畳の道が、そばの香りへと誘ってくれます。

<店舗情報>
店名:神山
住所:渋谷区神山町10-8
2006(平成18)年4月にオープン。店主が毎朝、国産のそばの実を石臼で丁寧に挽き、手打ちで仕上げています。手間ひまかけたこの工程により、そば本来の香りと甘みが際立ち、喉ごしの良さも相まって、多くの人を魅了しています。

画像=かごさんinstagramより

かごさんのおすすめポイント!

人気の「蕎麦ランチ」を大盛で注文。蕎麦は、しっかりとした香りと自然な甘みがあり、ややボソボソとした野性味を残しつつも、どこか上品な仕上がり。蕎麦つゆは濃いめで、少しだけつけて食べるのも良いですが、そのまま手繰り続けたくなるような、シンプルゆえのおいしさがあります。添えられた筍の炊き込みご飯は、ふんわりと炊き上げられ、優しい出汁の風味が口いっぱいに広がります。

店内は黒を基調とした落ち着いた空間。JAZZYなBGMが静かに流れ、渋谷の賑わいから少し離れただけとは思えないほど、心地よい静けさと上質な時間が流れています。

老舗鮮魚店の目利きが光る、魚好き必見の定食/魚力

JR渋谷駅から徒歩約12分。オシャレ書店「Shibuya Publishing & Booksellers」を過ぎ、右手に見える白洋舎ビルの向かい側。昔ながらの町の魚屋さんの風情を残しています。

<店舗情報>
店名:魚力(うおりき)
住所:渋谷区神山町40-4
明治時代創業の老舗鮮魚店「魚力」の直営店。確かな目利きで選ばれた魚介を使い、素材の魅力を活かした料理が楽しめます。

画像=かごさんinstagramより

かごさんのおすすめポイント!

おすすめは「サバ塩焼とあじなめろうの定食」。メインの一つであるサバの塩焼きは、脂がたっぷりとのっていて、ごはんが進む絶妙な塩加減。もう一方のあじなめろうは、ねっとりとした本格的な舌ざわりが特徴で、脂ののったアジに自家製の“秘伝味噌”がしっかりと絡み、まさに絶品です。さらにうれしいのが、大きなお椀にたっぷり入った、甘めのしじみ味噌汁。この味噌汁もごはんも、なんと何度でもおかわりOKという太っ腹ぶり。

注文方法もちょっとユニークで、メニュー表の代わりに短冊を取ってレジへ持っていくスタイル。しかも、その短冊の裏に書かれた番号が当たると、おまけの小鉢が付いてくるという、ちょっとした楽しみもあります。

以上、5店舗をご紹介しましたがいかがでしたか? 奥渋エリアはランチのほか 、ノルウェー・オスロ発のカフェ「FUGLEN TOKYO」やニュージーランド発のカフェ「Coffee Supreme Tokyo」など、オシャレなカフェが数多く集積しているのも特徴です。最後に1店舗、「番外編」として、ランチ後におすすめのユニークなカフェをご紹介します。

【番外編】穴場!文房具屋の奥に珈琲の名店あり/深町遠藤文具&深町珈琲

JR渋谷駅から徒歩約15分、代々木公園駅から徒歩約4分。代々木公園が徒歩数分圏内にあり、散策のついでに立ち寄るのにもぴったりなロケーション。カフェではなく「文具店」を探してください。

<店舗情報>
店名:深町遠藤文具&深町珈琲
住所:渋谷区富ヶ谷1-43-8 深町遠藤文具店1F
文房具店「深町遠藤文具」の店内に併設されたカフェで、文具を探しながら、店内に漂う珈琲の香りを楽しむことができ、他にはない組み合わせが最大の魅力です。

画像=かごさんinstagramより

かごさんのおすすめポイント!

おすすめは「コロンビア」。注文を受けてから丁寧にハンドドリップされた、たっぷり二杯分のボリューム。中深煎りながら苦味は控えめで、豊かな香りが広がります。軽すぎず、かといって重すぎない絶妙なバランスで、透明感のある味わいがすーっと体に染み渡ります。思わず深呼吸したくなるような、ホッと落ち着くおいしさでした。

一見すると、どこにでもある昔ながらの商店街の文房具店。しかし、よく見ると店先には「珈琲」の文字が。ドアを開けるとそこは本当に文房具屋さん……の奥に、焙煎機を備えた本格派の珈琲専門スペースが隠れています。まさに“穴場すぎる穴場”。

店内はカウンター席のみのコンパクトな空間ですが、不思議と落ち着ける雰囲気。カップは事前にお湯で温めてくれていて、その丁寧な所作に心が和みます。派手さはないけれど、一杯一杯に誠実さが詰まっている。そんな“正直な一杯”がいただける、静かで居心地の良いお店です。

奥渋ランチのまとめ

代々木公園の緑を間近に感じられ、落ち着いた空気が流れる奥渋エリア。渋谷の喧騒から少し離れたこの場所には、感度の高い人々が集い、個性あふれる飲食店が静かに佇んでいます。最近では、新しいカフェや食堂も少しずつ増えてきましたが、昔ながらの喫茶店や地元で長く愛されている定食屋も健在。ジャンルは、和食からスパイスカレー、自然派イタリアンまでさまざまで、どの店にも店主のこだわりが光ります。中には誰にも教えたくないお店もあります(笑)。

週末の散歩がてら訪れるもよし、平日のランチタイムに静かなひとときを過ごすもよし。まだ知らない“奥渋グルメ”の世界を、ぜひこの機会にのぞいてみてください。

取材・執筆

小山田滝音

2014年からライター・編集活動開始。“グルメ系”や“街モノ系”の取材および執筆を中心に活動し、港区・赤坂、六本木、虎ノ門などの地元ニュースやフリーペーパーなどを手がける。最近では渋谷や田町にも足を伸ばす。実際に足を運ばないと見つけられないネタやニュースを日々探す。好きな食べものはカツ丼。